坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ - 和書 - 子供と読む絵本の旅
長谷部 浩(編集)

岩波書店

グループ:Book /ランキング:190454
価格:¥ 1,995
発売日:2008-07 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
三津五郎さんの踊りに通じる愉しさ  (2008-11-10)
昨年、三津五郎さんの踊る「奴道成寺」に心躍った記憶がよみがえりました。
三津五郎ファンはもちろん、踊りに詳しそうな年配のかたから外国人観光客まで、客席が沸いていました。

芝居を心底愛する役者は、観客にさまざまな愉しみを、惜しみなく用意してくれるものです。
「歌舞伎の愉しみ」と題するこの本、九章構成のどこから読んでも、楽しめます。
歌舞伎は理解するのではなく、感じてほしいという一節がありましたが、観客ひとりひとりの自由な感覚を広く深い懐で受けとめるような、余裕すら感じました。

だからといって、奇をてらった表現や見栄えのする身振りに走るのではなく、まずじっくりと台本を読み込んで、役に息を吹き込む。当の人物の内面へと意識を掘り下げる。
歌舞伎の歴史のなかで培われてきたスタンダードには、長い年月を経てきただけの意味がある、そのスタンダードを守りたいと語る三津五郎さん。
美的感覚が多様化しているこの時代、劇場に集まった観客のほとんどが「いい芝居だった」と感動を共有できる舞台はめったにありません。スタンダードとされる作品、表現がかつてこうした感動を生み、時代を生きのびてきたことを考えれば、現代にも新たな感動を呼び起こすかもしれません。

新作とスタンダード。伝統とオリジナリティ。変えられないものと変えるべきもの。
どちらかではなく、どちらも認めながら成長を続ける役者。そんな役者を見守るのは何より愉しい。

歌舞伎好きの方にぜひ!  (2008-08-11)
坂東三津五郎歌舞伎の愉しみ
「歌舞伎中級者に向けた内容の、よい本がないので」というのが、この本が出来るきっかけだったようですが、じゃあ、中級者っていうのは、どの位の人???と思ったら、歌舞伎を見始めて2〜3年の方を想定されているようです。

ここ数年の間に、三津五郎さんが演じられたお芝居や舞踊を例に挙げて、かなり詳しくその背景や演出、型、そして演じる際の心持といったところまで、語られています。その辺が、見始めて2〜3年っていう所以でしょうかね。
今まで、お芝居を見ていて、なんとなくわかった気になっていたことでも、改めて三津五郎さんのお話を伺うと(まさに、お話を伺っているっていう感覚に陥る、三津五郎さんの語り口を上手に活かした構成になっています)「なるほど、あれはそういうことだったんだ!」と気づかされることや「今度この演目を見る時は、そこに注目して見てみよう!」という発見や気づきがたくさんありました。
中でも「踊りを観るのは理屈ではありません。『ああいいね。やはりいいね』でいいわけです」という言葉は、当代一二を争う踊りの名手である三津五郎さんならではの言葉として、印象に残ります。 

ご自分がこれまでに、諸先輩から教わってきたこと、ご先祖様から受け継いだこと、ご自分で調べ考えたこと、共演者と演じる中で発見したこと etc. 貴重な歌舞伎の「芸の伝承」の一端に触れることができます。

三津五郎ファンの方はもちろん、三津五郎ファンではないけど、歌舞伎好きよ〜!という方にも、オススメの1冊です。