デビルマン 全5巻セット 講談社漫画文庫 - 和書 - 子供と読む絵本の旅
永井 豪
ダイナミックプロ

講談社

グループ:Book /ランキング:159649
価格:¥ 2,625
発売日:1998-10 /只今品切れ中
カスタマーレビュー
おすすめ度:
百の哲学書より、まず”デビルマン”  (2008-11-27)
”絵”的には、”洗練されている”とは言い切れないでしょう。
”セリフ”に関しても、今の若い人が見れば、”臭いな・・”と思うのは、事実あるでしょう。

この作品に私が”囚われた”理由の一つには、作者の、”このことだけは、絶対に人に伝えておかねばならない。”という執念につきます。それと、物語の完璧な”建築性”です。
”神”によって身勝手に生み出され、かつ失敗作の烙印を押され、抹殺されようとした”デーモン=悪魔”を守る為に、自ら地上に降り、戦うことを決意したかつての”神”の一員である堕天使”サタン”。
この物語の主人公である”デビルマン”(人間である心優しい青年不動明と、強大な力を持つ悪魔界のエリートであるアモンの融合体)は、”サタン”が、”神”との再戦に備え、永い眠りから目覚める間に身勝手に地球を汚した新生物である”人間”を滅ぼす為の重要な”策略の駒”であるとともに、サタン自身が、”人間=不動明”を愛してしまったが為に、複雑かつ凄惨な運命を辿ることとなります。
デーモン側の対人間憑依作戦により、”隣人が悪魔に乗移られ、殺しに来るのでは・・”という疑心暗鬼にかられ、親しい隣人にさえ殺意の刃を振りかざす弱く空ろな”人間”達・・・。
”人間=不動明”は、それらを傍観するのみならず、”デビルマン”という宿命から、自らその現場に立ち会い、憤り、狂い、病み、そして”人間とは、悪魔とは、・・・”という”深く烈しい”自問”の果てに、”サタン”との最終決戦を選択します。”人間を守る為の戦い”ではなく、最後に生き残るのが、”デーモンかデビルマンか”というもはや”戦いの為の戦いとしか言えない戦い”に・・・。

デビルマンを読んでていつも思うのは、作者は別に悪魔人間なんか描きたくなかったんじゃないか・・・ということです。本当の”悪魔”は、まさしく我々”人間”の心の中に居て、それらが具現化して、不特定多数の人間に憑依してしまった場合、果たして多くの”人間”はどのようにふるまい、そしてほんのわずかな、強い”善良な心”を持った人間がどう振舞わざるを得ないのか・・・ということを実験してみたかっただけではないのかということです。

そしてこの作品の本当に恐ろしいところは、裏に常に”神の意思”が窺えることです。
この壮大で、”神話”にすら引けを取らない稀有な世界観の裏に、この”神話”すら、”我々の策略に過ぎない”とでも言いたげな、”神の意思”に、この”デビルマン”という作品自体が貫かれているということです。
恐らく、全巻通して読んで頂けたら(3巻は微妙ですが・・・)、そのことが理解してもらえると思います。

”人間”に迷ってる方は、百の哲学書より、まず”デビルマン”です。

漫画にあって  (2008-07-02)
漫画にあらず。これを読むにはかなりの精神力、読むことで、何かを感じ取る気持ちがなければ、手にとるべからず。精神性の高い作品。心をえぐる、狂気を漫画というフィールドで描いた名作。ピンク・フロイドを聴いたあとのような、陰鬱な気分になります。

功績は認めるが  (2006-04-07)
多くのクリエイターに影響を残した実績は認めます。
僕も、TVなどでデビルマンに影響を受けたという、評論家などの話に興味を持って購入しました。
でも、古いファン以外は気分が悪くなるだけではないでしょうか?
よっぽど漫画というものに興味がある人は、歴史を知るという意味で読んでみていいかもしれませんが・・・。
暇つぶしとかでならやめた方がいいでしょう。

紛うことなき傑作。だが…  (2005-03-12)
劇場用映画が公開されたことで、新たにデビルマンに興味を持ってくれる人が増えてそのことは嬉しい限りです。(映画についてはノーコメント…)

多くのクリエイターや創作者達にも影響を与えた比類なき作品です。
物語の持つ大きなパワーと当時の作者のテンションが合致して生み出されたこの漫画は、日本漫画の歴史を語るうえで必ず名前が挙がってくる傑作といえます。子供の頃読んで受けた衝撃の大きさは今でも忘れられません。未読の方は是非この機会に触れてみてください。
自身のテンションを紙に込めるために指に墨をつけて描くなどの、当時としても斬新な手法も使っています。

ただ、3巻に収録されている歴史モノ(過去にワープして云々)は、デビルマン完結後十年以上たって描かれた「新デビルマン(単行本1巻にて完結)」という番外編が収録されているものですので、本筋とは本来は関係ありません。(絵柄が急に変わるので分かると思います)
何故か復刻版は皆、この「新デビルマン」を無理矢理本編の中に組み込んであるので、それによって元々の物語の持つスピードやリズムが崩されてしまっているのが唯一難点といえば難点。


悪魔は自分自身  (2003-12-02)
デビルマンとは悪魔の侵略から人間を守るため、悪魔化して悪魔の力と人間の心をあわせもったヒーローだ。しかし人間は悪魔を恐れて魔女狩りを始める。人間同士の争いは苛烈を極め、ついには人類滅亡に至る。

☆を四つにしたのは、第三巻の歴史的エピソードに基づいた悪魔退治の話が作品全体の勢いをそいでしまっているように思うからだが、この作品は、今の時代にこそ読まれるべきだという気がする。私たちは得体の知れない「他者」を恐れている。テロを恐れている。そして、「テロに屈してはならない」という掛け声のもと、武器をとって戦地に赴こうとしているのだ。つまり自分自身が「他者」を虐殺する悪魔になろうとしている。
 殺されたくなければ、戦争に参加しなければいい。戦いによってすべてを失ったデビルマンの姿は、それを訴えているような気がするのだ。