里山ビジネス (集英社新書) - 和書 - 子供と読む絵本の旅
玉村 豊男

集英社

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価格:¥ 714
発売日:2008-06 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
ビジネスという文脈を超えた思想  (2008-12-22)
読み始めて、単なるワイナリー事業の話かと思って諦めかけていた。
ところがである。読み進むに従い、本書は、タイトルのビジネスという文脈からは遥かに深い里山思想が綴られている。
そしてそこに、仕事と稼ぎという、忘れられた日本人のDNAが脈々と受け継がれていることに気がつく。
玉村さんがワイナリーの設立書に書いた一文を備忘録として載せておきたい。
「農業は続けることに意味がある。その土地を絶えず耕して、そこから恵みを受けながら、人も植物も行き続ける。それが農業であり、人間の暮らしである。ワイナリーを中心に地域の人が集い、遠方から人が訪ねて来、そこで作られたワインや野菜や果物を媒介にして人間の輪ができあがる。それが来訪者を癒し、地域の人々を力づけ、双方の生活の質を高めていくことにつながるだろう。ワイナリーじたいはとりたてて大きな利益を生むものではなくても、そうした、農業生産を基盤として地域の永続的な発展と活性化を促すひとつの有効な装置として機能するとすれば、これほど大きな価値を実現できるものは他に類がないと思う」

また現在の農業や山村部の問題点も分かりやすく指摘している。最近読んだ神門善久氏の「日本の食と農」とまさに同じ指摘だと思う。
大規模営農や補助金行政では日本の農は復活しえないのだ。

玉村氏は一生働き続けると言う、そしてそこに常に新しい出会いと発見があり幸せがあるのだと。金と言うテキストを超えた人生がそこに見えるように思った。


ヴィラデストワイナリー&レストランのお店紹介  (2008-12-16)
 全国の里山自然保護に世間が目を向け、環境を活かした普遍性のあるビジネスモデルについて書かれていると思い、本書を手に取ったが、そういった面も少しは含まれているものの、大半は著者がオーナーのワイナリー&レストランの紹介に終始しており、残念だった。

 何を目当てに大勢の人が集まり、どれぐらいの開業前予算が必要で、収益があるのか(ワイナリーについての一般的な予算は細かく明示)、についてもよく分からない。
 自前の畑で取れた作物を出せば、山の中の不便な場所でも客は来る、わけではなく、追加費用についても著者のようにおいそれとポンポン支出できまい。
 何より45名もの従業員を雇用しているとくれば、読者が想像するような夫婦や親子など少人数で起業可能なものではない(小規模では「ビジネス」ではないとの反論もあろうが)。

 ワイナリーやワイン作りに興味ある人には楽しめるか、とも思ったが、この程度のことについては周知か。
 田舎暮らしの面では良い部分もあったが、期待はずれ分もあり、☆2減点とした。

ビジネスのあり方を根底から覆す「里山ビジネス」  (2008-11-16)
この本の中に書かれている、ワイン作りに必要な様々な施設整備にかかる大きなコストを見ると、地域ワイン作りを事業的に回していくことはとても大変。小規模な飲食業を行う際は人件費や排水処理施設の整備費など意外な支出がかさみ、たとえお客が来たとしても、利益を上げて継続していくことは大変であることも解かる。しかし、「どこかに輸送したら絶対に味わえなくなる、商品化できない野菜たち。それらが育った場所であるここでしか味わえない野菜の素晴らしさを知ってもらうには、畑のすぐそばにレストランをつくるしかないp.86」「そこでしかできないもの。そこへ行かなければ食べられないもの。同じものでも、そこで食べるからこそおいしいもの。本当はそういうものがほしいのです。P.107 そういうものを見つけて、それを遠くに送ってブランド品として売るのではなく、その場所で食べてもらう。第一次産業の生産地は、そこへ人が来てさえくれれば魅力的な観光地に変身します。そうすれば鮮度も落ちず、輸送費もかからず、中間マージンも取られず、包装代も節約でき、しかも産地の人や風景も一緒に楽しんでもらえるのです。P.108」と知恵を働かせ、「会社は大きくならなくても、収入がそれほど増えなくても、自分に嘘をつかずに生きていける。そんなたしかな生活の拠点を私はつくりたいのです。P180」という思いで小さなビジネスを回していく玉村氏の里山ビジネスはとても魅力的。「これからの時代は、里山で営む小さな農業、いろいろなものを少しずつあちこちでつくり、里と緑の恵みを享受しながら自然とうまく折り合いをつけて営む暮らしの農業が、注目を浴びてくるとp.134」という指摘も頷ける。

田舎の生活の仕方  (2008-07-20)
タイトルだけを見ると、里山でビジネスを展開する方法が書いてある本かとも思えるが、中身は、起業を通じて、里山での生活を仕方を書いている本だと思う。話し言葉で、著者の里山での実際の生活が語られており、親しみやすい。お店が地域に密着し、自然の恩恵を受けて切り盛りされている様子がよく分かる。

定年後などに都会を離れて悠々自適の生活を送りたいという流れが大きくなっているなかで、起業しない多くの人にとっても、里山で生活するための知恵として、参考になるのではないだろうかと思った。

真の豊かさ  (2008-07-01)
玉村豊男氏はエッセイスト、画家として知られるが、本当はすごいビジネスマンでもあると思う。
決して規模をむやみに拡大しない。豊かさを持った成長をしているのである。それもビジネスとして成り立つのが難しい土地にあってである。

この本に、こんなくだりがある。

拡大しないで持続する。
持続しながら生活の質を上げる。
どんなにグローバル化が進展しても、それに影響のない生活を確立する。
そんな暮らしができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。

額に汗して働くことの貴さと、豊かな生活を目指し、長野でワイナリーとレストランを経営する玉村さんの活動は、単に規模の拡大でない、本当の豊かさを持った成長である。
そしてこの本のメッセージは、現代のグローバルビジネスの時代に対するアンチテーゼでもある。
久々に読後にすっきりする本を読んだ。
真の豊かさを知りたい人に勧めたい。