ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi - 和書 - 子供と読む絵本の旅
穂村 弘

小学館

グループ:Book /ランキング:26316
価格:¥ 998
発売日:2003-05 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
短歌中級者〜上級者向けの歌集  (2007-11-29)
「土曜の夜はケータイ短歌」のゲスト歌人としても有名な穂村弘さんのベスト版歌集。
いままでに発行された歌集から穂村さんが選んだ短歌や、この本のために書き下ろした
新作短歌、エッセイなど、たっぷり収録されています。

あまり短歌の経験の無い初心者の方には解釈の難しい短歌も収録されていますので、
自分の短歌の幅を広げたい人や、もっと色々な形式の短歌を読んでみたい人にはぴったり。

私はこの歌集を読んでから短歌のとらえ方が変わりました。

心地よい軽さ  (2007-05-31)
心地よい軽さ。ことば、発想の生み出すユーモラスな世界。穂村さんの短歌はポッポスの味わいです。好きなのは、

耳で飛ぶ象がほんとにいるのならおそろしいよねそいつのうんこ
桟橋で愛し合ってもかまわないがんこな汚れにザブがあるから
こんな目に君をあわせる人間はぼくのほかにはありはしないよ



蛍光ペンを爪に塗って「マニキュア」ってやったあの感じ  (2005-03-19)
好きな言葉を、好きなように蛍光ペンでマークできていたのは、もういつのことになるだろうか。
本来なら自由に、その色が、赤が、青が、黄色が、緑が、そして彩られた言葉たちが光るのを楽しんで然るべきなのに、現在の私たちは、来週のテストの試験範囲や、旅行の日程や、役立つ就職情報や、重要な経済用語などといったつまらないものに、その用途を限定している。
果たしてこれでいいのだろうか?

穂村弘は、誰もが忘れ去っていた幼少時の素直な高揚を、鮮明に描き出す。デビュー歌集『シンジケート』の代表的な歌に、既にそれは顕われている。

子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」

秘密基地、犯罪組織といった言葉が持つ、不思議な幼児性。著者はこのように、普段見落としがちな言葉の魅力を、ラインマーカーでチェックしていく。
また、この本はあくまで「Best of Homura Hiroshi」なので、それだけではなく、多様な一面を見せてくれる。

ウェディングドレス屋のショーウィンドウにヘレン・ケラーの無数の指紋

のように「三十一文字の小説家」としての技量を示したり、著者への手紙という形の「手紙魔まみ」では、

完璧な心の平和、ドライアイスに指をつけても平気だったよ

のように無邪気な愛の全能感、そして痛みを描いたりと、他にも紹介しきれないが、微笑ましいものから怖いものまで幅広く収められている。
短歌に興味はあるけど、ちょっと取っ付き辛いなあ……という人にこそお薦めという意味で、まさにベスト盤だと思う。


男性歌人の、詩歌もいいよねえ  (2004-01-19)
短歌集である。
形式にのっとり、伝統的な技法を使いながらも、現代的なことばと、現代的な情感を歌う、穂村弘が、ぼくは、気に入っている。

それに、女性歌人が元気な昨今、同じ男性として、応援したいという気持ちもある。
やっぱり、男性歌人の歌の方が、共感できる点が多いような気もしないではない。
年齢も、ぼくより7つ若いくらいだから、歌人がおじさんになって、自分への悲哀みたいなものがただよっているのを感じてしまう。
そして、甘さも優しさも、女性歌人のそれと、ちょっと違う。
なんか、まっすぐな甘さというか、木製の家具の優しさとでもいうか。
表現力がないので、これ以上、伝えられないが。
でも、力強さ、激しさもあるんですよ。


軽い毒と自己批判、刹那的な美  (2003-08-03)
これまでの歌集の中の選りすぐられた歌が収められている。丁度、大切な部分をラインマーカーでマークするみたいに集めたというのが、タイトルの意味であろう。ちなみにこの本の表紙絵もラインマーカーで描かれている。

この歌人の歌の中には宗教的な匂いを持つ言葉が繰り返し登場する。それは、「許す」であり、「神父」「天使」「パイプアルガン」「洗礼」「馬小屋」である。これらはかなり歌人自身の宗教的なバックグラウンドと関連しているのではないかと思わせる。そして、この対極にあるのが、スカトロジックな露悪趣味である。宗教的な「善」的要素に対して、光と陰のような、この「悪」的要素が必ず出てくる。これらがこの歌人の歌の味となり、歌を深くしているものと思う。ショートストーリーも塊??められているが、やはり、短歌の方がずっと良い。

こわくなることもあるよと背を向けたまま鳥かごの窓を鳴らして(p.32,シンジケート)
恋びとの腋剃りあげて口づける夜明けの中に夏がきている(p.132,ラヴ・ハイウェイ)

穂村弘さんの歌には軽い毒と自己批判、刹那的な美を認める精神がある。何度も繰り返し読める歌集である。