砂の女 (新潮文庫) - 和書 - 子供と読む絵本の旅
安部 公房

新潮社

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価格:¥ 500
発売日:1981-02 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
あまりピンと来なかった。  (2008-12-01)
「最高傑作」と言われていますが、自分には合わなかったみたいです。
確かに、著者の想像力はすごいと思います。
文章は、まるでノンフィクションであるかのように緻密でした。
また、テーマである「砂」に自分の人生を比喩している点も、なるほどと思いました。
しかし、深さ以上に世界の狭さを感じます。
主人公のウジャウジャウジャウジャした脳の中のお披露目会みたいで、
あまり入り込めませんでした。
私がまだ若いから理解不十分なだけかもしれません。
10年後に再読したら、面白いと思うのかも。


ざらざら…。  (2008-11-28)
本のページの上にあるのはただ整然と並ぶ活字のみ。
しかしその活字を読み進めてゆくと
匂い、手触り、物音、温度、光、色彩…と
作中からの擬似感覚を実にまざまざと味わされることが暫しあります。
それも文学の醍醐味の一つではないでしょうか。

この小説を読んでいると湿り気を帯びた砂が
身につけているものは勿論、体中、髪の生え際、耳の中でさえも
拭っても拭ってもざらざらと肌に纏わりつくような生々しい感覚を覚えるのです。
砂に閉ざされた剥き出しの男と女。
なんとも読み応えのある、ざらざらとした一冊です。

高校生の頃、不条理にあこがれつつ、安部公房の不可思議性が好きでした。  (2008-11-19)
高校生の頃、不条理にあこがれつつ、安部公房の不可思議性が好きでした。
砂の女は、理解を超える不条理性と不可思議性を持っているように思われました。
なぜかは説明できませんが、安部公房が書いているのならそうなのだろうという感じでした。

人生の意味、自由と束縛、男と女の問題を高度な小説技法で描いた傑作  (2008-10-30)
安部氏は「砂」と「壁」を良くモチーフに用いるが、本作はまさに「砂の壁」に取り囲まれた家の中から必死に逃れようとする男を通して、人生の意味、自由と束縛、そして男にとっての女の存在の意義を問い掛けた作品。

男は昆虫採集のため、ある浜辺に行くが、そこは砂に囲まれた村だった。男は「砂の壁」の上から落とされ、ある家に軟禁状態にされる。家には女が一人いるだけである。女がする事は家が潰れないように砂を掻き出すだけである。男は当然、何回も逃れようと"もがく"が「砂の壁」に阻まれ脱出できない。家の倒壊を防ぐために女の手伝いをして、砂掻きをする始末である。「砂漠は清潔である」とは「アラビアのロレンス」中のセリフだが、本作での砂は暴力的である。無形だが流動的で捉え所のない1/8mmの砂の塊。生きるために、ひたすらその砂と格闘する男と女。人生の意味とは、この砂との格闘のように他者から押し付けられた無為な決め事を繰り返すだけなのか。しかし、男の以前の生活は、この束縛された環境と比べ本当に自由だったのか。色々考えさせられる。

男は逃亡の目的もあって女と関係を持つが、無為な生活の中にも女は必要と言う事か。性の営みも他者に強制された無為な行為なのか。女が終始、"丁寧語"を使うのも怖い。そして、女が示す男への貞操と外界への忌避感も印象的である。高度に抽象化・幻想化された物語でありながら、ザラザラしたリアリスティックな感覚を覚えるのは作者の力量だろう。砂を撒き散らしているのは男自身かと思う程である。まさに、「メビウスの輪」。

高度な小説技法で、生きて行く事の意味、自由と束縛、性衝動の意味を問い掛けた戦後文学を代表する傑作。

比喩。  (2008-09-16)
比喩が複雑で類似であったり対比であったりが
絡み合っていて、私には難解と感じられる箇所も
ありましたが、それでいて純粋な面白さも失わず、
エンターテイメントとしても申し分ないと思います。
読んでいるだけで汗と砂にまみれてこびりつく
ような不快感、薄暗くじめじめした閉塞感など
その時々で微妙な感覚が伝わってくる描写も圧巻です。