カスタマーレビュー
おすすめ度:
ジグソーパズル
(2008-09-09)
本作は、東京都荒川区の高層マンションで起きた殺人事件にまつわる謎を、
すべてが解決した時点からフリージャーナリストが回顧するという形式をとった小説です。
本作についてよく知られているのは、
短期賃借権や民事執行妨害といった法制度の抜け穴を描いていることでしょう。
ちょうど同「火車」が多重債務問題を取り上げたように、
執筆時のタイムリーな法律問題を、綿密な取材に基づいて織り込む手腕は健在です。
もっとも、本作で取り上げた抜け穴は、
2003年以降の民法や民事執行法の改正により埋められたため、
法制度の話題としては、もはや過去の遺物といえるでしょう。
しかし、それでもなお本作が魅力的なのは、
多種多様な登場人物というピースで成り立つ、ジグソーパズルの様相を呈しているからです。
それぞれの登場人物はいろいろな歴史や事情を抱えて家族を形成し、
あるいは家族から離脱しています。
言い換えれば、現代日本で揺れ動く家族の様子が活写されています。
一見何のかかわりのないそれらの「断片」が、
一つ一つ埋められていくことで、殺人事件の現場で起こった真相が明らかにされていきます。
とりわけ、最後に埋まるピース=登場人物の不気味さは、
何か著者の現代日本社会に対する鋭い告発のようにも思えます。
たしかに、スピーディーな展開を期待する方はうんざりされるかもしれませんが、
じっくり腰を落ち着けて楽しむ余裕のある方にはぜひ読んでいただきたい名作です。
なお、フリージャーナリストの取材という形式をとることにより、
世間や既存のマスコミが、このような事件に接した際の混乱ぶりをも鋭く批判しています。
久々に読んで寝てしまった
(2008-08-28)
宮部みゆきは大好きで、
この小説はよく耳にしていたので期待して読みました。
結果から言うと自分には合わないな・・・という感じ。
いつも小説を読み出すと寝れなくなり朝まで読むことが多いのですが、
最初の方はどうも内容に入り込みづらく1〜2頁読むと眠くなり寝てしまいました。
頑張って読みきった感が否めない。
書き方が淡々とし過ぎている上にやたらと説明が長く、結構労力を使いました。
登場人物もかなり多いし名前も似たような名前で、章ごとにころころと
話が飛んでいくので自分には難しかったです。
価値観は人それぞれなので意見は分かれると思いますが、
初めて宮部みゆきを読む人にはあまりお勧めできないような気がします。
私にとっては面白かった
(2008-07-20)
とても面白かった。すらすら読めて、長さがちっとも苦になりませんでした。
でもそれは、膨大な数のキャラクターひとりひとりに感情移入ができたからだと思います。
評価の中には「長すぎる」という声がありますが、確かに、キャラクターの言動や思いの細かい部分に、共感あるいは一喜一憂する気持ちが起こらないと、ただ長いだけの読むのがつらい小説になることと思います。
ひとつの都市を中心に、複数の家族物語を描いていった作品という感じ。
ミステリーよりも、様々な人間ドラマに「ミステリー要素を加えた」小説だと思いました。
人情話をからめたドキュメンタリー
(2008-06-16)
荒川区の超高層マンションで起こった殺人事件をめぐり、
事件に関わった人たちのインタビューという形で物語りは進む。
淡々とした展開が延々と続くので、途中で何度も読むのを
やめようかと思った。
謎解きのスリルや興奮、スピード感といったものは一切無い。
ミステリーと言うより、ドキュメンタリーと言った方が良いだろう。
当然クライマックスも無く、読み終わった後の感動も無い。
ただ単に事件の真相が明らかになっただけである。
ただ、インタビューで語られる人間関係の機微みたいなものは
良く書けている。この辺は人間を書くのが上手い宮部さんの
長所が良く出ている。特に嫁、姑、小姑など女性特有の間柄や
親子の微妙な関係などは秀逸。しかし、子供、特に男の子が
皆良い子すぎるような気もする。
よく言えば、意欲作、実験作と言えない事も無いが、悪く言えば
失敗作、駄作とも言える。
良い。
(2008-06-15)
素晴らしい文章の力と構成。題名が効いている。他人が理解出来ようと、出来まいと私たちの行動にはなんらかの理由がある。その理由は個人の過去とつながりがある。そして過去なくしては人間の実体はないのだという作者の説明はわかりやすい。しかし、直木賞授賞作としてこの本を見直すと、物足りない気がする。現代社会の澱を分かりやすく説明しようとするあまり、情報提供小説のようになってしまった感があるからだ。しかし、宮部みゆきという人が作家として抜きんでた才能を持っていることもよくわかる一冊である。
おすすめ度:
ジグソーパズル
本作は、東京都荒川区の高層マンションで起きた殺人事件にまつわる謎を、
すべてが解決した時点からフリージャーナリストが回顧するという形式をとった小説です。
本作についてよく知られているのは、
短期賃借権や民事執行妨害といった法制度の抜け穴を描いていることでしょう。
ちょうど同「火車」が多重債務問題を取り上げたように、
執筆時のタイムリーな法律問題を、綿密な取材に基づいて織り込む手腕は健在です。
もっとも、本作で取り上げた抜け穴は、
2003年以降の民法や民事執行法の改正により埋められたため、
法制度の話題としては、もはや過去の遺物といえるでしょう。
しかし、それでもなお本作が魅力的なのは、
多種多様な登場人物というピースで成り立つ、ジグソーパズルの様相を呈しているからです。
それぞれの登場人物はいろいろな歴史や事情を抱えて家族を形成し、
あるいは家族から離脱しています。
言い換えれば、現代日本で揺れ動く家族の様子が活写されています。
一見何のかかわりのないそれらの「断片」が、
一つ一つ埋められていくことで、殺人事件の現場で起こった真相が明らかにされていきます。
とりわけ、最後に埋まるピース=登場人物の不気味さは、
何か著者の現代日本社会に対する鋭い告発のようにも思えます。
たしかに、スピーディーな展開を期待する方はうんざりされるかもしれませんが、
じっくり腰を落ち着けて楽しむ余裕のある方にはぜひ読んでいただきたい名作です。
なお、フリージャーナリストの取材という形式をとることにより、
世間や既存のマスコミが、このような事件に接した際の混乱ぶりをも鋭く批判しています。
久々に読んで寝てしまった
宮部みゆきは大好きで、
この小説はよく耳にしていたので期待して読みました。
結果から言うと自分には合わないな・・・という感じ。
いつも小説を読み出すと寝れなくなり朝まで読むことが多いのですが、
最初の方はどうも内容に入り込みづらく1〜2頁読むと眠くなり寝てしまいました。
頑張って読みきった感が否めない。
書き方が淡々とし過ぎている上にやたらと説明が長く、結構労力を使いました。
登場人物もかなり多いし名前も似たような名前で、章ごとにころころと
話が飛んでいくので自分には難しかったです。
価値観は人それぞれなので意見は分かれると思いますが、
初めて宮部みゆきを読む人にはあまりお勧めできないような気がします。
私にとっては面白かった
とても面白かった。すらすら読めて、長さがちっとも苦になりませんでした。
でもそれは、膨大な数のキャラクターひとりひとりに感情移入ができたからだと思います。
評価の中には「長すぎる」という声がありますが、確かに、キャラクターの言動や思いの細かい部分に、共感あるいは一喜一憂する気持ちが起こらないと、ただ長いだけの読むのがつらい小説になることと思います。
ひとつの都市を中心に、複数の家族物語を描いていった作品という感じ。
ミステリーよりも、様々な人間ドラマに「ミステリー要素を加えた」小説だと思いました。
人情話をからめたドキュメンタリー
荒川区の超高層マンションで起こった殺人事件をめぐり、
事件に関わった人たちのインタビューという形で物語りは進む。
淡々とした展開が延々と続くので、途中で何度も読むのを
やめようかと思った。
謎解きのスリルや興奮、スピード感といったものは一切無い。
ミステリーと言うより、ドキュメンタリーと言った方が良いだろう。
当然クライマックスも無く、読み終わった後の感動も無い。
ただ単に事件の真相が明らかになっただけである。
ただ、インタビューで語られる人間関係の機微みたいなものは
良く書けている。この辺は人間を書くのが上手い宮部さんの
長所が良く出ている。特に嫁、姑、小姑など女性特有の間柄や
親子の微妙な関係などは秀逸。しかし、子供、特に男の子が
皆良い子すぎるような気もする。
よく言えば、意欲作、実験作と言えない事も無いが、悪く言えば
失敗作、駄作とも言える。
良い。
素晴らしい文章の力と構成。題名が効いている。他人が理解出来ようと、出来まいと私たちの行動にはなんらかの理由がある。その理由は個人の過去とつながりがある。そして過去なくしては人間の実体はないのだという作者の説明はわかりやすい。しかし、直木賞授賞作としてこの本を見直すと、物足りない気がする。現代社会の澱を分かりやすく説明しようとするあまり、情報提供小説のようになってしまった感があるからだ。しかし、宮部みゆきという人が作家として抜きんでた才能を持っていることもよくわかる一冊である。
