カスタマーレビュー
おすすめ度:
観た、観た、読んだ、観た
(2008-11-13)
何気なく観た機内映画。不思議な感じがして2度繰り返して観た。しばらくしてから原作を読んで、その後再度DVDで映画版を観た。「時と人」シリーズと言われるものの一つだと知ったのは原作を読み終えてから。結末が見通せてしまうのはこの設定では仕方ないのかも知れないが、そんなことで興ざめになるとかならないとか考える前に読み終えてしまう、不思議な魅力のある作品だ。そうでなければ何度も映画を観たりしない。
タイムパラドックスもの(本作ではパラドックスと言う程ではないが)に素直に身をゆだねるのは好きな方なので楽しめた。他の2作も読んでみよう。
閉じた時間、超える想い
(2008-08-16)
≪時と人≫シリーズ第2弾。
時と人シリーズの中では、3番目かなぁ。
全体として面白くてぐいぐい引き込まれるんだけれど、タイムパラドックスものはやはり難しいと思う。
タイムパラドックスを使った仕掛けは、どうしても人の意志が入った作為的なものになってしまうなぁ。
ターンのあとがきに書いているタイムパラドックスに関する矛盾に関する著者の説明は
あまり論理的ではなく感じました。
サスペンス的な要素を減らした方が、より北村薫ワールドの雰囲気が出たような気がします。
スキップのあとがきにもあったけど、執筆前にK・グリムウッドのリプレイが出て
しまったから、少し意識して作為的にしてしまったのかな?
全体を通しての閉じた時間の中には繰り返すという不思議な感覚と繊細な女性の心理描写はさすが北村薫と思いました。
よかったです。でも、とっつきにくい
(2008-02-29)
だからもったいないなあって感じました。
二人称というあまりない視点で語られるのですが、なんだか読みにくいんですよね。
でも電話がかかっきたあたりから三人称になり、一人称になるラストまでは一直線。
最後はたいていの人が予想したでしょうけど、やはり良かったですね。
ただいまって言葉が。
今この時を大切に
(2007-09-20)
いつも思うけれど、この人の作品は、特別なことが起きなくても、何もない当たり前の毎日を大事に生きていくことの大切さを教えてくれている。
とはいうものの、今回は主人公・真希に特別なことが起きる。銅版画家を目指している彼女は交通事故をきっかけに、ある時間になると昨日に戻ってしまう身となった。夕食を食べ、風呂に入り、寝る。翌朝、いつものように目覚めるが、午後3時15分になると、昨日の午後、椅子で眠りこけている自分に戻る。
なにをやっても毎回同じように前日に戻ってしまう。せっかく描いた下絵も消えてしまう。記憶だけは残るけれど、他には何も残せない。お金を使ってもまた財布に戻ってくる。時間がすすまないから、季節もすすまない。ただただむなしくなっていく。
作者が最後に「付記」という形で少々解説をされていますが、その中で、「会社に勤めていて〜(略)同じ仕事をして帰る。家庭の主婦の方が、洗濯をし、〜(略)食事を作る。そういう中で、ふと、疲労とむなしさを感じてしまったら、それは時の《魔》に捕まったようなものです」と言っておられます。これがまさに、この作品のテーマなんだと思います。
同じように見える毎日、同じような繰り返しに思えることも、決して同じ一瞬はないのだ。真希がそのことに気づいたと同時に、生きるってこういうことなんだなと私も理解できました。
今この瞬間というのは2度と戻ってこない、大事な時間、私の人生の一部なんです。特別なことはできなくても、自分が今できることを精一杯やる、それが生きていくってことなんでしょう。
真希は元の世界に戻れるのか、どうやって戻るのか。そんなちょっとしたドキドキ感もありますが、全体としては静かなトーンの作品です。だからこそ、読んだ後にしみじみと胸に染み渡るような温かさを感じます。あー、毎日つまらない、なんて思ってる人、ぜひ読んでみてください。
大人の御伽噺!
(2007-06-09)
午後3時15分になると昨日に戻ってしまう。
何をしても結果を残せない毎日。
事故をきっかけに自分以外に誰も居ない世界に迷い込んでしまった主人公「森真希」の日々が始まります。
色々な事を試してみるものの無駄に終わり諦めかけた時、一本の電話が掛かってきます。
版画家「森真希」の作品、青いメゾチントに興味を持ったイラストレーター「泉」からの電話です。
ここから、「ターン」に向けて「森真希」が歩み始めます。
”男と女は元々ひとつだったもの。それがこの世に生まれ時、分かれたから、失った片方を捜し求める”
そういう人の姿を自分の中に抱き、その内なる声と会話を続けていた「森真希」にとって、「泉」の声が正に内なる声だったのです。
ゆったりとした流れで進んでいくロマンチックな「大人の御伽噺」です。
是非味わってみて下さい。
余談になりますが、私は6年間単身で駐在しておりました。
帰宅後、何の音も聞こえない世界が広がり、自分だけが取り残されてしまい、同じことの繰り返しをしているのではないか、もう現実の世界に戻れないのではないか、との気持ちに苛まれましたので、主人公「森真希」の気持ちは痛いほど良く分かりました。
おすすめ度:
観た、観た、読んだ、観た
何気なく観た機内映画。不思議な感じがして2度繰り返して観た。しばらくしてから原作を読んで、その後再度DVDで映画版を観た。「時と人」シリーズと言われるものの一つだと知ったのは原作を読み終えてから。結末が見通せてしまうのはこの設定では仕方ないのかも知れないが、そんなことで興ざめになるとかならないとか考える前に読み終えてしまう、不思議な魅力のある作品だ。そうでなければ何度も映画を観たりしない。
タイムパラドックスもの(本作ではパラドックスと言う程ではないが)に素直に身をゆだねるのは好きな方なので楽しめた。他の2作も読んでみよう。
閉じた時間、超える想い
≪時と人≫シリーズ第2弾。
時と人シリーズの中では、3番目かなぁ。
全体として面白くてぐいぐい引き込まれるんだけれど、タイムパラドックスものはやはり難しいと思う。
タイムパラドックスを使った仕掛けは、どうしても人の意志が入った作為的なものになってしまうなぁ。
ターンのあとがきに書いているタイムパラドックスに関する矛盾に関する著者の説明は
あまり論理的ではなく感じました。
サスペンス的な要素を減らした方が、より北村薫ワールドの雰囲気が出たような気がします。
スキップのあとがきにもあったけど、執筆前にK・グリムウッドのリプレイが出て
しまったから、少し意識して作為的にしてしまったのかな?
全体を通しての閉じた時間の中には繰り返すという不思議な感覚と繊細な女性の心理描写はさすが北村薫と思いました。
よかったです。でも、とっつきにくい
だからもったいないなあって感じました。
二人称というあまりない視点で語られるのですが、なんだか読みにくいんですよね。
でも電話がかかっきたあたりから三人称になり、一人称になるラストまでは一直線。
最後はたいていの人が予想したでしょうけど、やはり良かったですね。
ただいまって言葉が。
今この時を大切に
いつも思うけれど、この人の作品は、特別なことが起きなくても、何もない当たり前の毎日を大事に生きていくことの大切さを教えてくれている。
とはいうものの、今回は主人公・真希に特別なことが起きる。銅版画家を目指している彼女は交通事故をきっかけに、ある時間になると昨日に戻ってしまう身となった。夕食を食べ、風呂に入り、寝る。翌朝、いつものように目覚めるが、午後3時15分になると、昨日の午後、椅子で眠りこけている自分に戻る。
なにをやっても毎回同じように前日に戻ってしまう。せっかく描いた下絵も消えてしまう。記憶だけは残るけれど、他には何も残せない。お金を使ってもまた財布に戻ってくる。時間がすすまないから、季節もすすまない。ただただむなしくなっていく。
作者が最後に「付記」という形で少々解説をされていますが、その中で、「会社に勤めていて〜(略)同じ仕事をして帰る。家庭の主婦の方が、洗濯をし、〜(略)食事を作る。そういう中で、ふと、疲労とむなしさを感じてしまったら、それは時の《魔》に捕まったようなものです」と言っておられます。これがまさに、この作品のテーマなんだと思います。
同じように見える毎日、同じような繰り返しに思えることも、決して同じ一瞬はないのだ。真希がそのことに気づいたと同時に、生きるってこういうことなんだなと私も理解できました。
今この瞬間というのは2度と戻ってこない、大事な時間、私の人生の一部なんです。特別なことはできなくても、自分が今できることを精一杯やる、それが生きていくってことなんでしょう。
真希は元の世界に戻れるのか、どうやって戻るのか。そんなちょっとしたドキドキ感もありますが、全体としては静かなトーンの作品です。だからこそ、読んだ後にしみじみと胸に染み渡るような温かさを感じます。あー、毎日つまらない、なんて思ってる人、ぜひ読んでみてください。
大人の御伽噺!
午後3時15分になると昨日に戻ってしまう。
何をしても結果を残せない毎日。
事故をきっかけに自分以外に誰も居ない世界に迷い込んでしまった主人公「森真希」の日々が始まります。
色々な事を試してみるものの無駄に終わり諦めかけた時、一本の電話が掛かってきます。
版画家「森真希」の作品、青いメゾチントに興味を持ったイラストレーター「泉」からの電話です。
ここから、「ターン」に向けて「森真希」が歩み始めます。
”男と女は元々ひとつだったもの。それがこの世に生まれ時、分かれたから、失った片方を捜し求める”
そういう人の姿を自分の中に抱き、その内なる声と会話を続けていた「森真希」にとって、「泉」の声が正に内なる声だったのです。
ゆったりとした流れで進んでいくロマンチックな「大人の御伽噺」です。
是非味わってみて下さい。
余談になりますが、私は6年間単身で駐在しておりました。
帰宅後、何の音も聞こえない世界が広がり、自分だけが取り残されてしまい、同じことの繰り返しをしているのではないか、もう現実の世界に戻れないのではないか、との気持ちに苛まれましたので、主人公「森真希」の気持ちは痛いほど良く分かりました。
