泣き虫ハァちゃん - 和書 - 子供と読む絵本の旅
河合 隼雄
岡田 知子

新潮社

グループ:Book /ランキング:67455
価格:¥ 1,365
発売日:2007-11 /通常24時間以内に発送

カスタマーレビュー
おすすめ度:
子供に帰る、そして繋ぐ  (2008-08-02)
 実質著者の遺作となったこの作品。この作品を書きながら天に召されたと思うと著者は何か感じていたのでしょうか。日本人のアイデンティティ、日本人の家庭のあり方を探し続けた著者の原点と生き様が、純粋な著者の懐古、心温まる挿絵、谷川俊太郎氏の送別の詞と相交わり一冊の本となっています。子供の童話であり大人の童話でもあります。

真実の河合隼雄  (2008-05-03)
 ユング派の臨床心理学を紹介、日本に確立した河合隼雄氏。臨床心理士の育成、スクールカウンセラー導入、文化庁長官などの業績と多数の著作を残したが脳梗塞で倒れる直前まで婦人公論に連載されていた自伝的少年小説。河合4兄弟はつとに有名だが元々は6人兄弟だったとは。京都丹波篠山の裕福な歯科医の一家に生まれた主人公(ハァちゃん)の記憶は幼稚園までさかのぼり、主に戦前の小学校や家庭の出来事が鮮明に綴られる。兄弟の中でも非常に感受性が豊かで良心的で涙もろい性格がよく表現されている。古来、人生に深い洞察を加えられる人々は幼児期の記憶が鮮明であるらしい。臨床心理の実践に一生をかけた著者の原点を知る思いがする。

河合先生の子ども時代にタイムスリップ  (2008-03-17)
沢山の兄弟、泣き虫の自分、子供心に楽しい・面白い・悲しい・寂しい・恥ずかしい・腹立たしい。
色んな感情が渦巻く感受性豊かな子ども時代を、「ハァちゃん」という分身でもって回想する本。「こどもの宇宙」や童話の世界を大事にしていた河合隼雄先生の、ほのぼのした日常が穏やかな眼差しで描かれている。

先生が亡くなられ、話は途中で終わっているものの、尻切れとんぼという感じではなく、ちょうどいい所で終わっている絶妙な終わり方。ふと、また続きが始まるような、何気ない別れ方、終わり方も、いかにも先生らしいような気がする。

挿絵も涙が滲んだような、ちょっとはにかんだような水彩で淡々と描かれているのが、何ともいえない雰囲気。坊主頭の少年の笑顔が、晩年の先生の笑顔と重なって見える人も多いだろう。子供の世界、遊びの中に心の世界を求めた河合隼雄の原点を、垣間見たい人にお勧め。

河合先生の少年時代の原風景  (2008-02-26)
去年7月に亡くなられた臨床心理学者の河合隼雄先生の遺作。
『家庭画報』2006年2月号〜2007年1月号に連載。執筆半ばにして天に召されました。

主人公は、6人の、男ばかりの兄弟の5番目である城山隼雄(ハァちゃん)。
時代は戦時中、故郷である丹波篠山を舞台に、幼稚園から小学校4年生までの物語です。

子どもが生まれてから、先生の著作を沢山読ませていただきました。
子どもに対しての先生の目線は、このような生活の中で育まれてきたのだと、この本を読んで感じました。
優しい色調の挿絵と相まって、家族っていいなあとしみじみ思わせてくれます。
もっともっと続きを読みたかった・・・

巻末の谷川俊太郎さんの詩は、きっと先生を慕う全ての人々の想いだと確信します。

河合せんせい・・・・・・  (2007-12-16)
このような本は評価とか星とかそういうものになじまないのである。
河合先生との個人的な思い出を大事にしている方は、やっぱり持っておかれて
損はないと思う。
巻末の谷川さんの詩は絶唱である。もう現代詩とか言語の芸術とかそういうものではなくて
西條八十の歌謡のような世界である。
ああ、誰か故郷を想はざる・・・・・・。