カスタマーレビュー
おすすめ度:
構成が悪いだけではなく事実誤認も多い
(2007-12-28)
まず進化とは何か、概説書なら冒頭で説明すべきなのにおざなりでそのまま進化論史に突入する。さらに進化論史のなかで用語や概念も説明するという荒業を見せる。全体の構成も分かりにくいが、説明していない用語の乱発も目立つ。
分子生物学の説明をするのはいいが、性選択、血縁選択や社会生物学の発展を扱っていないのは大問題だろう。もっともこれらを扱うと著者らが否定したい「有利な変異は無視してよい」説や「自然選択は観察されていない」説が崩れてしまうのだが。自然選択は数理遺伝学や理論生物学では「適応度」という概念でより詳細に研究されている極めて重要な事実で、野外でも観察もされている。否定するなら研究の不備や矛盾を指摘するべきで、無視すべきではない。
本書はグールドや木村は自然選択やダーウィニズムを批判したと述べるが、二人とも自然選択が進化の大きな原動力であると著作で明言している。なぜこんなあきらかな事実誤認があるのやら。
ウィルス進化論や今西説をもちだすのはいいが、これらの説の致命的欠陥には触れていないのは読者にたいして誠実ではない。
全体の論調は中原氏の『図解進化論』そっくり。事実誤認や歪曲、自説に沿わない研究の無視という態度もおおむね踏襲している。
批判的に読め!
(2003-01-28)
「研究者ないしは専門的学者による進化論の解説ではない」冒頭に本書の監修をされた小畠氏の言葉がある。本書には専門的な色は全くない。そういった内容を求めるのであればまずおすすめできない。進化論とその周辺のことについて大雑把に目を通したい高校生・中学生向けと思っていただきたい。
おすすめ度:
構成が悪いだけではなく事実誤認も多い
まず進化とは何か、概説書なら冒頭で説明すべきなのにおざなりでそのまま進化論史に突入する。さらに進化論史のなかで用語や概念も説明するという荒業を見せる。全体の構成も分かりにくいが、説明していない用語の乱発も目立つ。
分子生物学の説明をするのはいいが、性選択、血縁選択や社会生物学の発展を扱っていないのは大問題だろう。もっともこれらを扱うと著者らが否定したい「有利な変異は無視してよい」説や「自然選択は観察されていない」説が崩れてしまうのだが。自然選択は数理遺伝学や理論生物学では「適応度」という概念でより詳細に研究されている極めて重要な事実で、野外でも観察もされている。否定するなら研究の不備や矛盾を指摘するべきで、無視すべきではない。
本書はグールドや木村は自然選択やダーウィニズムを批判したと述べるが、二人とも自然選択が進化の大きな原動力であると著作で明言している。なぜこんなあきらかな事実誤認があるのやら。
ウィルス進化論や今西説をもちだすのはいいが、これらの説の致命的欠陥には触れていないのは読者にたいして誠実ではない。
全体の論調は中原氏の『図解進化論』そっくり。事実誤認や歪曲、自説に沿わない研究の無視という態度もおおむね踏襲している。
批判的に読め!
「研究者ないしは専門的学者による進化論の解説ではない」冒頭に本書の監修をされた小畠氏の言葉がある。本書には専門的な色は全くない。そういった内容を求めるのであればまずおすすめできない。進化論とその周辺のことについて大雑把に目を通したい高校生・中学生向けと思っていただきたい。
専門家の書いた本と違って一部の事柄に固執していなく、ポピュラーな内容でもあり、楽に読めることは確かである。ただし、内容の構成はお世辞にもいいとはいえない。個々の説明は理解しやすいが、異なる章で何度も同じような説明が重複していたり、用語の統一がなっていないため、読者をとまどわせる。また、各頁下段には用語の解説があるが、例えばホルムアルデヒドの説明は「最も簡単な鎖式飽和アルデヒド」である。素人にとってこれではより難解になっていると言わざるを得ない。
本書のねらいは分からないでもないが、このような作りでは読み手の満足は得られないように思う。ただ、最初から批判的に読むというのであればある程度楽しませてくれるし、そういう風にものを見る力を付けるには入門書といえるかもしれない。なお、最後に参考書として幾つかの普及書が紹介されているので、それを手にして読むのもいいかもしれない。
