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経済・文化が曲がり角にいる現代に贈られたアイヌ神謡
「銀のしずく降る降るまわりに(Shirokanipe ranran pishkan)」というリフレインが印象的な冒頭の神謡をはじめ13編を、ローマ字によるアイヌ語と日本語を対訳にして収めています。
序において、著者は、アイヌがかつて自然のすべてと溶け合って日々を送っていた楽しく幸福な時代を想い、それらが失われつつある現代(大正時代)を憂えます。幸恵は、その楽しくも幸せな時代の謡を、後世に伝え、和人にも知らそうとこの書を編みながら、数え二十歳の生涯を閉じました。巻末に、彼女のことについて金田一京助の紹介があり、神謡について知里真志保の解説があります。 真志保(幸恵の弟、北大教授、文学博士)によると、アイヌ文学は、韻文物語(詞曲)と散文物語(酋長談)に分かれ、前者は神のユーカラ(神謡)と人間のユーカラ(英雄詞曲)に分かれ、さらに前者はカムイユカルとオイナに別れます。そして、それらがどんな背景のもとで生まれ、変化してきたかが解説され、中でも神謡について、その名称が各地で異なることとその意味と特徴が示されます。リズミカルで親しみやすいリフレインについても解説されます。二十数頁の論文ですが、アイヌ文学入門でもあります。 経済、文化が世界的に曲がり角にいる現在、このような神謡の世界に遊びながら、人間の未来、これからの自然と人間の関係などに想いを馳せることは意味のあることと考えられます。 |
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アイヌ神謡集 (岩波文庫) 知里 幸恵(翻訳) 岩波書店 おすすめ度: 価格: ¥ 525 円 (税込み) |









