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森と海のあわいから沸き起こる音楽・・・
八丈島の海で早朝から夕方まで、独りでひたすら泳ぎ込んだ。その爽快な疲労を森の温泉で癒した後、ぶらりと立ち寄ったカフェは古民家の広間を利用して営まれており、素朴で自然と調和したたたずまいが居心地良い。畳に座って庭の木々の緑を眺めながらコーヒーを飲んでいると、店の奥から微かに流れてくる音楽があった。IZである。
IZの音楽はこれまでにも聴いていたが、このときほど自然に自分の身体に沁み込んできたことはなかった。海と森のあわいから湧き上がったような優しい調べは、太平洋を越えてハワイと八丈島を結んでいるかのようだ。僕は時の経つのを忘れ、その素敵なカフェにすっかり長居をしてしまった。 このCDのジャケット写真は森と海のつながりを暗示していて僕は個人的に好きだが、それ以上に内容がとても豊かで、IZを初めて聴く人に僕がお薦めしたい一枚だ。たぶん人によっては好き嫌いがあるだろうが、幾つかのアメリカン・ポップスの名曲がIZによって新しい息吹を吹き込まれていることにも僕は感銘を受けた。 地元ハワイでのイズラエル・カマカヴィウォオレの人気ぶりを物語るエピソードがある。1997年に(38歳であの崇高なまでの肥満が原因で)亡くなったとき、彼の遺体は州議会の議事堂に安置され、その栄誉を受けたわずかふたり目の人物となったのだ。 イズの魅力は、アメリカの一州として併合される以前のハワイへの愛と、表現力豊かな優しく情熱的な声にある。その声は高音域を震わせながら、ジョニー・マティスを思わせる安らぎを乗せて空を漂う。本作の数曲(「Ka Pua U'I」、「White Sandy Beach of Hawai'I」、陽気な「La 'Elima」)では、ウクレレの弾き語りで彼本来の叙情性を引き出し、ハワイの伝統的なムードを醸し出している。また、ジミー・バフェットさながらの「Maui Hawaiian Sup'pa Man」では、自らのスタイルにぴったりの現代的なタッチを遊び心豊かに加えている。 本作で何より感動的なのはアルバムのオープニングとエンディングを飾る哀悼歌で、ストリングスをバックに、「Hawai'i '78 Introduction」では父の死をしのび、「Hawai'i '78」では失われつつあるハワイ土着の文化へ思いをはせている。そして、「Somewhere Over the Rainbow/What a Wonderful World」のメドレーは、映画『ジョー・ブラックをよろしく』のエンディングタイトルで流れ、本作で最も有名なナンバーとなった。(Terry Wood, Amazon.com) |
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