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彼(正さん)の生き方を知ってほしい
こんなにも自分以外の人間を愛し尽くすことが出来る人間が
この日本に、昭和の時代にいたなんて。 いや、こんなにも相手を思いやって愛することが人間に出来るなんて。 男女の愛なんて、 裏切りや自己中心的な思いとの葛藤で苦しむことが多いけど、 そうではない愛を築くことが出来る・・・と、知らされました。 それがキリスト教の信仰の凄さか。 昭和21年の敗戦の混乱期。自ら情熱を持っていた教員生活に自信を喪失し、退職。どうしようもない虚無感から、「ヴァンプ」と噂される程の精神的堕落を覚え2重婚約をするまでに至る。さらに肺結核を患い、13年間の闘病生活が始まる。 釈迦は今まで自分が幸福だと思っていたものがすべて虚しくなり、山の中にはいった。そして聖書のはじまりも「混沌」であり、「世のすべては虚しい」と説いている。このことに目を止めた綾子は、幼なじみでクリスチャンであった前川正の深く清らかな愛情で、次第にキリスト信仰の道へ、迷い疑いつつ激しく葛藤しながら進んでゆく。本書は虚無と絶望からはじまる「自分のこころの歴史」を赤裸々に、また緻密に描き出した著者の自伝小説である。 また、著者自身の信仰生活の道程が記されているとともに、青春期を通して多くの人々がぶつかる「真の愛とは何か」「人が人を愛するとはどのようなことか」を深く追求しつづけたその姿が記録されている。 「綾ちゃん、人間はね、一人一人に与えられた道があるんですよ」と前川正によって優しく語られる言葉が本書の主題であり、さまざまな困難や過酷な状況にあろうとも「神への全き信頼」を抱くまでに成長した綾子の姿が読者のこころを圧倒的に魅了する。 青春編とあるだけに、若い読者の「自らの道を求めている」魂に響く部分が多い。また青春期を過ぎた読者にとっても、著者とともに自分の青春期を振り返る作業ができる感慨深い作品となるに違いない。(青山浩子) |
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道ありき―青春編 (新潮文庫) 三浦 綾子 新潮社 おすすめ度: 価格: ¥ 620 円 (税込み) |









