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若々しい国の香気のようなものを感じる
タイトルを付けて思ったのですが、秋山兄弟や正岡子規をはじめとする登場人物のすがすがしさにとどまらず、彼らを通じて、新しく作られた国の持っている若々しさを感じます。
この作品が作られた昭和の時代ではなく、今読むことで特にその雰囲気を感じることができるのではないかと思います。モノが満ち溢れているのに何故か閉塞感漂う現代。これに比べて、小説の中の日本はほんの小さな国だけれども、何と悠々として晴れやかなことか。伊予弁の持つのんびりとした雰囲気も捨てがたいけれども、それだけではないと思います。これから日清戦争、日露戦争へと突入するのでしょう。これからが楽しみです。 同じ松山で生まれ育った正岡子規と、日露戦争で活躍した秋山兄弟。子規は病と闘いながら俳諧の革新に挑み、秋山兄弟はそれぞれ日本の騎兵、海軍の技術向上に尽力した。当時最強とうたわれたロシアのコサック騎兵を打ち破るべく、ひたすら仕事に打ち込む兄好古と、文学の世界に未練を残しながらも海軍に入隊し、海軍戦術を研究し続けた弟真之。2人のまじめな努力の成果は、歴史が証明している。誰もが立身出世を目指した時代に、彼らがどうやって自分の人生の意義を見出したのか。そんな視点から読んでみるのもおもしろい。 司馬遼太郎の大河小説の中でも、本書は特に評価が高く、ビジネスパーソンをはじめ、多くの人々に読まれている。改革の時代にこそひも解きたい、そんな1冊である。(土井英司) |
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坂の上の雲〈1〉 (文春文庫) 司馬 遼太郎 文藝春秋 おすすめ度: 価格: ¥ 670 円 (税込み) |









