川上 弘美 - 和書 - 子供と読む絵本の旅
実際はこうなのかも 夫に愛人がいることが判明しても、なかなか決断が出せずにゆるゆると日常を送る「のゆり」。相手の女性は一人ではなく、無言電話や妊娠騒動など、あらゆる不幸が降りかかってくるのだけれど、のゆりは取り乱すことなくそれでも生きている。
こんな友人がいたら、「あんた、なにぐずぐずしてんの!早いとこ別れちゃいな!!」と助言するだろうことは確実ですが、意外と夫婦という契りを一旦結んでしまった二人には、単なる「好き」「嫌い」では推し量れない二人だけが持つ世界があって、そうそう簡単に結論は出せないんだろうな〜とも思いました。この本は白黒はっきりさせたい人には不向きでしょう。
川上ばりの細かな描写も健在で、何気ない言い回しに涙ぐむことも。

風花   風花
川上 弘美
集英社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,470
円 (税込み)
カケオチ短編集(毒入り) 基本的にダメ女がダメ男と逃げ続ける短編集。

○時間感覚があいまい
○方向感覚・距離感覚も狂っている
○舞台背景がさだかでない
○非現実的な状況や無意味な反復など、どこか錯視を起こさせる道具立て
○然るべきところに然るべき文字を用いないフシゼンさ
○幼児退行ともうけとれる不可解な行動
○男女二人以外の存在は基本的にオボロゲ

この現実でありながら現実でないような遊離感覚を味わわせる文体が売り物であり、クセモノでもありますが。ま、ひとことで言ってラリっています。麻薬入りですね、この小説は。中毒しやすい人は気をつけてください。

個人的に麻薬入りは嫌いじゃないけど……私はもっと別のがいいな、なんかこの本、コワいもの。
溺レる (文春文庫)   溺レる (文春文庫)
川上 弘美
文藝春秋
おすすめ度:
価格: ¥ 420
円 (税込み)
初めて読んだ川上さんの作品です  近年の日本の小説はあまり読みませんが、ここで高評価なこともあって読んでみました。結論から言うと、ごく普通。あまり何も残らないといった印象でした。結末もだいたい予想できるものでしたし。小説は読む人の合う合わないが大きく、それがそのまま評価にもつながってしまうのかもしれません。
 自分は男で、なかなか主人公の女性に感情移入が出来ないということも大きいでしょう。まず、なんで30以上年上のおじいさんに惚れるのか理解できませんし・・・。きっと女性には受けるのでしょうが、同じ男性にはあまりオススメできない小説でした。頑張って最後まで読みましたけど。でも、飲み屋でのつまみの描写とか、面白かったです。
センセイの鞄 (文春文庫)   センセイの鞄 (文春文庫)
川上 弘美
文藝春秋
おすすめ度:
価格: ¥ 560
円 (税込み)
美しい小説が読める短編集 川上弘美さん作品との出会いが、この短編集で本当に良かった。
収録されている9つの作品に登場して来るのは。

くま、白い妖精3匹、叔父の幽霊、カッパ、壺の中に住むコスミスミコさん、えび男くんの星、
雪国の妖怪、人魚、くまの神様。と、人間が普段の生活を過ごす上で接触する事は先ずないだろう
世界の住人たちとのエピソード。なのに。川上さんの描く人間たちは皆、違いは違い、
不思議は不思議として出来事を受け止め、受け入れて居る。

とりわけ印象的だった話が、【夏休み】。夜になると何かがずれるようになったと感じて居る私と、
引っ込み思案な梨畑の妖精との交流。しばらく話さなかった妖精が喋りはじめた
『ぼくが入ってもぼくが抜けてもその場所が変わっちゃうのがだめ』って言葉。

月の光に照らされながら土を掘る、わたしの姿。昼間熱心に働くわたしに、
『もう少しゆっくりしていいんだよ。植物は同じ速さでしか育たないんだよ』と呟く
梨農家の原田さんの言葉。全てが胸に沁みて。これぞ、読書体験!と思える感動を味わえました。

美しい小説が読めますので、是非どうぞ!!。
神様 (中公文庫)   神様 (中公文庫)
川上 弘美
中央公論新社
おすすめ度:
価格: ¥ 480
円 (税込み)
思い出多きいい本です 主人公の男性は、姉を持つ長男坊。どこか頼りなさそうで、いつも「僕には君しかいない」と女性に甘えてくる。そんな彼に、ついつい母性本能をくすぐられ、面倒をみてしまう自分がいる。でも実は、彼は、表面と裏腹にとても慎重で計算高い。この本を読むと、いつも昔つきあっていた、というか面倒をみていた年下の彼を思い出す。「あなたにそっくりの主人公が書かれた本があるわよ。」と彼に伝えると、彼は、恥ずかしそうに、くすっと笑みをこぼす。こんな些細なしぐさに、またも心を奪われてしまう。「僕は君に嫌われたくないから」と、ふっとささやくこともある。こんな言葉を、言われると思わず殴ってやりたい気持ちになったりもする。本当に、どうしようもない男だ。女性の弱みどころを、よく知り尽くしているだけに、たちが悪い。一人で勝手に生きれば、と突き放しても、どこか心配で気になってしまうような、そんな男だ。「自分のことばかり考えずに、人の幸せも考えられるような人間になりなさい。」と突き放して別れた彼。そんな、ほんのりと甘ったるい砂糖菓子のような思い出を彷彿させる本です。
ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)   ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)
川上 弘美
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 460
円 (税込み)
切ない「た」、強さの「ある・なる」 いつも思うのは、
こんなふうに完璧に日本語が構築されていくことの驚き。

それと非常に強い現実味。
こういう体験を作者自身がしていなければ
ありえないだろうと思わせる、手でつかめそうなほどの感情の確かさ。

しかしこの作品中には、
まったく現実にはありえないファンタジーもあるので、
いわゆる私小説的な世界ではない。

だとしたらこういう内容の事柄を
頭の中で想像するって、
どういうことなのだろうか・・と思ってしまう。

読後、冒頭の1篇を、小さな声で音読してみた。
すると黙読とは全然ちがう魅力が味わえる。

語尾の「だ」や「た」が、せつない。
「なる」や「ある」は、
女性らしい現実主義的な明るさや力強さにあふれる。

ちなみにその一篇の冒頭の4行、
文章は4つ。
語尾はすべて「た」。
句点も4つ、「て」あるいは「で」。
普通こうなると、
「繰り返し」が気になるものだが、
そんなことをまったく思わせない。

これだけでも作者の日本語構築力が
尋常ではないところに来ていることがわかる。


おめでとう (新潮文庫)   おめでとう (新潮文庫)
川上 弘美
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 420
円 (税込み)
こんな日があってもいい。 川上弘美さんの本を読むと、現実と折り合いをつけるのに疲れたら、思いっ切り自分の世界に浸ってもいいんだ、という気になります。
このエッセイも、いいんだ、自分がこんなに変でも、いいんだ、いろんなことが不器用でできなくても。という気になりました。
驚きは、作文が苦手だったこと。高校3年で、創作で内容をでっちあげる?までは、えんえん赤ちゃんだった弟さん(当然どんどん大きくなっていく筈なのに)のことを書き続けていた、それほどまでに作文が苦手だったということです。
また印象的な話は、「こまること」で、春になってしたくないのについつい春の陽気につられて挨拶してしまってきまづく世間話をするくだりもかかれており、正直だし、いいな、と思ってしまいました。
あるようなないような (中公文庫)   あるようなないような (中公文庫)
川上 弘美
中央公論新社
おすすめ度:
価格: ¥ 620
円 (税込み)
ゆったりたっぷりした読書時間が楽しめます。 短編小説集【神様】が非常に素晴らしかったので、書いた本人にも興味沸き読んだ一冊。
内容面白いのは勿論の事。感受力桁外れな人だからこそ日々の物音を決して、見逃さず、
聞き漏らさずに書けるのだろうな、と思った。小説もだけど、何て言うのか不思議な手触り。

世界の気配に敏感、繊細。なのに決してシリアスだけにならずユーモラスでチャーミングで。

混んだ電車の中、姿勢よく立ったまま次々と大福をたいらげてゆく【大福おじさん】を見つけ、
おじさんの食べた個数を数えたり。知り合いに会って声掛けたら走って逃げられたので、
ふたたび見つけた時、今度こそ逃げられまいと足音を忍ばせて近づき「わっ」とおどかす。

(あ、あなた子どもじゃないんだから。)やっぱり逃げ出される。
「どうして逃げるのー」叫ぶと「夏の終わりはさみしいですからー」走りながら答えられたり。
あとがきに『五分の四くらいは、ほんとうです』え、日記文学なの!?残り五分の一は何・・・!?

もう一度最初から読み直し楽しみました。
タイトル卵一個ぶんのお祝いエピソードも微笑ましくて素敵です。
ゆったりたっぷりした読書時間楽しめるオススメ本です!!
東京日記 卵一個ぶんのお祝い。   東京日記 卵一個ぶんのお祝い。
川上 弘美
門馬 則雄
平凡社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,260
円 (税込み)
失敗作です。  川上弘美の実力は、短編については認めています。けれど、これはいただけません。
 実質的に、文章には、短編には向かない文体というのが存在します。その代表が、江国香織、川上弘美です。綿矢りさもそうですが、彼女はうまく考え、最新作の「夢を与える」では文体をがらりと変えました。ほかにも柴崎友香もそうです。
 さて、川上弘美の文章が長編にどこがどう向かないか、かんたんに説明します。まず、文章がやわらかいこと。長編にはたいてい物語ありきで、このやわらかさでは物語をうまくコーティングできません。そして、文章がイメージ優先であることです。一瞬の肌触りや色彩をたおやかな文章でつつみこむ技術はたしかなものですが、実は、そういう文章は、ずっと読んでいると飽きるのです。
 この「いとしい」も飽きます。有機的につながりのないエピソードと、エピソード同士を弾ませることのできない文体でこの長さは、無理です。
 他作品に期待します。
いとしい (幻冬舎文庫)   いとしい (幻冬舎文庫)
川上 弘美
幻冬舎
おすすめ度:
価格: ¥ 560
円 (税込み)
湿った空気の夜に読みたい。 独特の、湿り気のある、静謐な、あやしさ。
ナマモノのもつ気持ち悪さと気持ち良さ。
おかしみ。

こんなふうに言葉を重ねてみても、
心が感じている良さを表し切れたとは到底思えませんが。
川上さんの繰る言葉は苦い甘い毒みたいに血管を巡って
いつも私をくらくらさせます。

この本に収められた短編は全て「異形交流譚」で、
川上さんの文章にあまりにも嵌り過ぎというかなんというか・・・
彼女の作品群の中でもかなり"極端"であると思います。
人によっては受け付けなかったりするのかも知れません。

でも、とても好きです。
龍宮 (文春文庫)   龍宮 (文春文庫)
川上 弘美
文藝春秋
おすすめ度:
価格: ¥ 460
円 (税込み)
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