梨木 香歩 - 和書 - 子供と読む絵本の旅
後半のせつない感じがいい 1899年、土耳古(トルコ)に留学中のエフェンディ(学者)・村田青年の滞在記録。
同じ下宿にいるドイツ人のオットー、ギリシャ人のディミトリス、英国人のディクソン夫人や、トルコ人のムハンマドと共に
過ごすトルコでの生活が随筆風にたんたんと記録されていきます。
同宿の友人たちと心温まる交流をしながら、時代の流れに巻き込まれそれぞればらばらになっていく。
読後感に青春の夢の後、といったそこはかとない無常感がただよう青春小説でした。

小説紹介の文章に「神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…」とあったので、もっとファンタジー色が強いのかと思いましたが
そういう感じではなく、生活の中で感じた不思議という感じで、作者の独特なセンスを感じました。
このセンスはまねできないなという感じで、とっても素敵な感じです。

ディミトリスのいう「−私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない…。」という言葉が心に残りました。

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)   村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
梨木 香歩
角川書店
おすすめ度:
価格: ¥ 500
円 (税込み)
心に染みる一冊 今からそう昔でもない、といって今ほど電灯などが普及していなかった時代。あまり売れてはいないが、もの書きの綿貫征四郎は、亡くなった友人の親に頼まれ、家の守りをするために庭つき池つき電燈つきの二階家へ移り住む。そこで出会う、掛け軸からボートに乗って現れる友人の幽霊、河童、人魚など様々な怪異。これらに驚くでもなく怖がるでもなく、日常に普通に起こることのように付き合っていく綿貫征四郎。

短編というよりはショートショートといった分量の二十八編が納められた物語集。

一編一編はとても短いのですが、そこから立ち上ってくる雰囲気、情感、懐かしさ、繊細な優しさといったら!著者の美しい文章の力にただただ圧倒されてしまいます。

何度も何度も繰り返し読み返したくなるような心に染み入る一冊です。
家守綺譚 (新潮文庫)   家守綺譚 (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 380
円 (税込み)
傑作 宮崎駿を超えるんではないか?と思えるほど、想像に富んでいて、内容の濃い、こどもが主人公の本だった!
宮崎駿さんに頼んで映画化して欲しいと思う。
裏庭 (新潮文庫)   裏庭 (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 620
円 (税込み)
やさしくてつよい話 うちこむものがあったり、夢があったり、食事をしたり、眠ったり、好きな人ができたり、失恋したり、子供を生んだり、病気になったり・・・
たとえば最近のケータイ小説や昔からある昼メロは人生の出来事を必要以上に過剰に描く。その過剰さは観客をひきこみ正常な判断をさせなくする。でも、梨木さんの小説はそうじゃない。ひとつひとつの出来事は大きくても小さくてもすべてが大事に大事に描かれていて、その連なりが人生を作っていくことを教えてくれる。読者をひきこむ独自の世界観を確立しながらも読者が自分で感じ考えるスペースを残してくれる優しさと強さがある。”りかさん”にまつわる少し現実離れした設定も素直に受け入れてしまうのは、その自分が一歩踏み込んで考える余裕を与えてくれるからなんだろうと思う。
からくりからくさ (新潮文庫)   からくりからくさ (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 620
円 (税込み)
再読できる本。 梨木さんの小説を何冊か読んで、それはそれで感動したのですが、この本で筆者への印象は随分変わりました。再読する度、ほかのレビューにもあるように、深く人間を理解しようとする筆者の姿勢に共感します。

その幅は、国や政治、宗教の違いだけでなく、パーソナリティの問題や犯罪、あるいは働く女性と主婦との違いまで広く行き渡っています。私たちが日常生活を送るうえで、たびたび遭遇するこれらの問題はとても根深い。

私たちはその問題と自分たちとは違う、と簡単に言い切り他人との間に塀をつくるか、あるいは塀をつくるな、と簡単なスローガンにしがちです。しかし、実際の問題解決は大変難しい。その難しいことをとにかく相手を受け入れるという形で実践してきたのがウェスト夫人でした。こういうひとが地球のどこかに存在しているのだ、ということが私にはとても嬉しいことでした。そして自分も常にこうなれるだろうかと自問が始まるのです。同じ場面自分ならどうしていくだろうかと。

このエッセイは、なので自分にとってはちょっと気が重く、しかし勇気付けられもする不思議な本です。
春になったら苺を摘みに (新潮文庫)   春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 420
円 (税込み)
大人でもワクワク  随分とレビューが良かったので思い切って買ってみましたが、心が温まる作品でした。絵のタッチは和風でお話にも神様が出てきますし、ただもう少し3人を見ていたいです。
マジョモリ   マジョモリ
梨木 香歩
早川 司寿乃
理論社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,365
円 (税込み)
この本から伝わってくるもの 私は梨木香歩さんと初めて出会った作品は、エンジェル エンジェル エンジェルです。この本を読み、梨木香歩さんの放つ独特な雰囲気に魅了され次の本も読んでみたい!!と思い「りかさん」を読んでみましたが間違いなく今まで読んだ本の中で心から読んでよかったと言える作品の一つになりました。結構久し振りにどんどん次が気になり読み終わってしまうのがもったいないと思いました。


それにしても梨木香歩という著者は本当に心をあったかくしてくれる人です。そして登場してくる人物の性格や伝わってくる雰囲気がとても良い!!もっとこの著者の本をたくさん読んでみたいと思うのですが、出版されている本の数がとても少ないのが残念です。。


りかさん (新潮文庫)   りかさん (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 500
円 (税込み)
夢見つつ深く水底へ。 梨木さんの文章は、いつもしんとした水面のようだと思います。
テンポよくさらさらとは流せない。
このエッセイを読んでつくづく思ったのですが、とても上質な翻訳文のように感じるのです。
思考したことをことばにするときに、たくさんの語彙の中から選り分けているのでしょう。
そのために、いつの間にか真剣に向き合い、
ことばを咀嚼して自分の中に染み込ませようとしてしまいます。

明らかに「静」のひとだとばかり思っていた彼女が、
カヤックという大きな「動」の趣味を持っていることに驚きました。
自然へのまなざしや対峙の仕方は、作品によく表れていると感じることが多く、
やはり日々の生活の中から生まれて来る感覚やことばたちなのだと思いました。

ほんとうはこんな慌ただしい時期に読んじゃいけない文章です。
ひとりになって、沈思黙考したくなりますから。
水辺にて―on the water/off the water   水辺にて―on the water/off the water
梨木 香歩
筑摩書房
おすすめ度:
価格: ¥ 1,470
円 (税込み)
壮大にして矮小なSF  不思議なぬか床から始まるこの物語が、細胞が永遠に己という生を繰り返す分裂を止めて死と交わって有限の生をリレーして生きることになったのかという、人類の発生から滅亡にいたる壮大にして、結局は個人的な関係で生殖するという矮小さに収束する話で、その筆の奔放さには驚嘆を禁じえません。なぜこの書き出しでファンタジックな閉鎖世界に生きる少年の物語やら孤島のサバイバルまで筆が及ぶのか。
 最後は結局そこか…、と嘆息しましたが、しかもダブルでくるし、そこまでは本当に胸躍る間違うかたなきSFでした。この物語に漂ってるのは一貫して陰の、すなわち女性の論理であり価値観であり世界観でありそして都合という一見してとっつきにくい感じが拭えないとは思いますが、滅亡テーマのSF好きな方にこそ読んで欲しい作品だと思います。
沼地のある森を抜けて   沼地のある森を抜けて
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,890
円 (税込み)
ずんとした感覚を味わえた作品 久々に、読み終わった後、作品世界から抜け出すことができない感覚を味わった。
ずんと深い所に突き落とされるような感覚。
「神さまは悪魔をどう思っていらっしゃるのだろう。
 神さまが作り出した楽園を乱す悪魔を。」
神様は悪魔を赦されるのか、それともはなから赦しているのか。
このテーマを中心に据え、ヒロインとヒロインの祖母の密やかな交流と
ヒロインの祖母の若いころの思い出が時に重なり合い、時にリンクしながら描かれる。

作品世界から未だに抜け出せないでいるのに、自分の思いを言葉ですくい取ることが
できないもどかしさを味わい続けている。私が何に対して、ずんとした思いを
抱いているのか。なぜ、こんなにも物悲しい気持を引きずっているのか。
その具体的な原因にたどり着けないでいる。
強いて挙げるならば、誰もが持っている人間の「悪」をコウコとコウコのおばあちゃんが
具体的に行動で示していて、その行動に、私はずんと落ちてしまったのだと思う。

「わたしはひどいことをしました。
 神様はわたしたちをおゆるしになるでしょうか。」
これは文庫本にかけられていた帯文句。
しかし、コウコがした「ひどいこと」もコウコのおばあちゃん、サワコがした
「ひどいこと」も大きなことではない。
私たちが感じるちょっとした神経のささくれを言葉で、行動で表し、そのささくれを
解消しようとしているだけに過ぎない。その小さな「ひどいこと」が小さいにも関わらず、
確かにぞっとするような「ひどいこと」で、その小ささとひどさの持つアンバランスさに
私はやられたのだと思う。同様に、コウコもサワコも、自分のそういった言動に
自分自身が最も傷ついてしまう。

けれども、サワコが乗り越えられなかった痛みを、コウコはサワコとの交流の中で
乗り越えていく。いや、「乗り越える」のではない。自分の一部として気づき、認め、
存在を許すことができる。

なぜ、万能であるはずの神様が「悪い存在」の悪魔を作ったのか。
神様は悪魔について、どう思っているのか。
作品全体を貫くこの疑問に対して、梨木さんは温かい視線で回答している。
この温かさ故に、私は人間の身勝手さを更に感じ、読み終わった後も物悲しい気持を
持ち続けたのだろうと思う。
エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)   エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
おすすめ度:
価格: ¥ 380
円 (税込み)
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