巻末の童話に感じること
モンスターという作品を読み終え今作品を読むと現実か空想か分からなくなる。一種の薬物的な作品だ。 更に後日談の今作品は隠された謎の解明と新たな恐怖の始まりが書かれており、怪物は消えない存在だと思わされた。 巻末の童話『めざめるかいぶつ』の後味の悪さはボナパルタ作品よりは弱いが気味が悪く吐き気に似た不快感は、こちらが上だ。人によって様々な見解があるけど、これは誰でも怪物に化けてしまう可能性があると感じた。不幸な少年は一つの幸せを手に入れたから怪物になった。しかし最後の一つ前の場面の捉え方によってはラストが二つに別れる、と自分は見解した。
1995年から2002年にかけて「ビッグコミックオリジナル」誌上で連載され大反響をよんだ『MONSTER』に関するノンフィクション「風」読みものである。2000年のある医院での惨殺事件を発端に、ヴェルナー・ヴェーバーというジャーナリストがヨハン・リーベルト事件の謎を「取材」する、という体裁で、現地の写真や資料を差しはさみながら進行していく。もちろん答えは明白であるのだが、最後まで本書がフィクションなのかノンフィクションなのか、はっきりと記述されることはない。 ヴェーバーの取材をうけ、エヴァや、ルンゲ警部といったあの面々の口からさまざまな真実が語られていく。「顔写真に関しては、撮影を固辞する人が大多数を占めたため、インタビュー後、わたしの記憶にある彼らのスケッチを載せることで代用した」とあるように、スケッチ風に生き生きと彼らが描かれているのはファンにはうれしいところ。 多くの謎を残したまま終わった『MONSTER』の続編やサイドストーリーが多くのファンから熱望されていたことは間違いないが、実際に漫画として描かれていたら、興ざめだったかもしれない。それを、この第3者の目を通した「ノンフィクション」という形で描ききった浦沢の鮮やかな手腕には脱帽である。本書のラストでは、漫画では描かれなかった「事実」の片鱗がちらりと語られていて、新たな謎を残す。ファンの悶々とした気分は、当分消えることはなさそうだ。(門倉紫麻)
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