西條 剛央 - 和書 - 子供と読む絵本の旅
蛸壺から抜け出す 本書では,専門分化された学問の現状が「学問の蛸壺化」と表現されており,
文学,教育学,独我論,精神医療,健康の不平等,EBM,実験研究,障害論
というトピックについて蛸壺からの脱出を目指した試みが提示されている。

こうした試みのなかで,構造構成主義の考え方が活用されており,
構造構成主義に関心のある人には,豊富な実践例となっている。

トピックは非常に多岐に渡っているので,
自分の関心のある論文だけを読んで問題意識を深めるのもいいし,
さらに別の論文を読んで,構造構成主義の使い方を学ぶこともできる。

個々の論文はいずれも堅実に書かれているので,
各学問領域の現状をしっかりと把握できる点も評価できる。

構造構成主義シンポジウムの様子とその体験記も掲載されており,
講演や対談の内容だけでも興味深いが,それを見た人の視点から
シンポジウム全体を追体験できるので,不思議な臨場感をともなって
楽しめるものとなっている。

いろいろ盛りだくさんな本。
信念対立の克服をどう考えるか(構造構成主義研究 2)   信念対立の克服をどう考えるか(構造構成主義研究 2)
西條 剛央(編さん)
その他
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 2,730
円 (税込み)
異学問間のコミュニケーション原理 異なる学問同士の共通の原理を模索する試み。



以下概要

これまで前提を共有していないがために不毛な対立を繰り返していた学問同士は多数存在する。
そうした対立を乗り越えて、異なる学問同士で知の共有を図ろうとするのが本書である。

学問対立の原因は、前提の非共有と自身の見方の絶対化である。
そこで、フッサールの議論を元に、外界を絶対的存在とは捉えずに、主体との関係で存在するものと見なす。
通常の外界の存在(とみなされるもの)は、現象として捉えられる。

その現象の現れ方は、われわれの関心の方向性に相関的である。
これが、見方同士の対立の原因である。
関心による見方の相違に自覚的になることで、異なる見方の人との対話が可能になる。

現象に対して、構造(理論)を提供して、よりよく説明することが学問の目的である。
そのため、どの見方を用いるかは場合場合の有用性によって決まり、それらは絶対的なものではなくなる。(要するに解釈である)

構造をアナロジー的に活用することで、これまでまったく違う学問と見られていたところから、理論を借りてきて利用することが出来る。
見方を絶対視しないことで、ある学問の既存の見方では取りこぼされてしまうような事柄もうまく扱えるようになる。



まったく新しい原理の提供ということであり、筆者の論は非常に興味深い。
異なる見方同士の対話の原理として、筆者の提示する構造構成主義(私が勝手に名づけるなら現象学的プラグマティズム)は有用そうであり、今後に期待できる。

ただし何点か疑問点もある。

まず、「主体を離れた独立の外界は存在しない」という見方自体が決して絶対的見方ではなく、現象学による一つのアプローチに過ぎない。
そのため、この現象学的見方が絶対視されているきらいがあり、この見方を採用しないものとの対話はどうするのかというのは問題として残されているように思う。

次に、論を発話者の関心に還元してしまうのは、ともすると「彼がああいう議論をするのは、実は彼の利益になるからだ」という動機論、人と論とのすり替え、を誘発する恐れがある。
それに対する注意は必要だと思われる。

あと、フッサール=竹田・池田をやたらと引用しているが、彼の論が正しいのかのサポートは特に行われているようには思えない。
したがって、上記の人々に同意しないと、筆者の論が空振りになる可能性がある。


ともかくも、次世代の原理になる可能性は十分に秘めており、ともすると今世紀の古典になっているかもしれない。
そういう意味では、一度は目を通しておきたい本だろう
構造構成主義とは何か―次世代人間科学の原理   構造構成主義とは何か―次世代人間科学の原理
西條 剛央
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 2,940
円 (税込み)
新しい学知を期待 現在の学界は専門家集団であるため、緻密な研究がなされる反面、領域が少し違っているだけで、お互い話が理解できなかったり、信念対立がひきおこされたりしてしまうようです。

本書は、そうした対立図式そのものをメタレベルで解消してしまおうという、野心的な試みが各領域にわたって展開された最初の著作です。

本書が何といっても新しいのは、第1部においてそうした解消方法(メタ理論の作り方)をていねいに解説してくれているところでしょう。

懐疑の余地が増すせば増すほど、原理性は低くなる。信じることを要請する理論ではなく、誰もの検証にたえうる原理性をそなえた理論をどのようにすれば作れるか。

新しい学知を拓きうる、画期的な本の登場かもしれません。
現代思想のレボリューション(構造構成主義研究 1)   現代思想のレボリューション(構造構成主義研究 1)
西條 剛央
京極 真
池田 清彦
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 2,730
円 (税込み)
構造構成的発達研究法の理論と実践―縦断研究法の体系化に向けて   構造構成的発達研究法の理論と実践―縦断研究法の体系化に向けて
西條 剛央
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 2,940
円 (税込み)
母子間の抱きの人間科学的研究―ダイナミック・システムズ・アプローチの適用   母子間の抱きの人間科学的研究―ダイナミック・システムズ・アプローチの適用
西條 剛央
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 2,520
円 (税込み)
「知」が生まれる躍動感を味わって欲しい スリルがある。。。

そう思ったのは,この本を読み終えた後である。サスペンス小説で味わうようなドキドキ感ではない。新しい知が生まれ,それが育ち,鍛え上げられていく。その過程を感じられる張り詰めたワクワク感。それが読後のスリル感の正体である。

この本は,人間科学をテーマに,次世代人間科学研究会という研究会のメンバーが執筆した学術書である。本書は理論・実践・方法という3つの軸に論が展開されている。この3つの軸は,人間科学だけでなく,他の多くの学問にも共通するキーワードである。

本書の特徴はこの3つの軸を結ぶセクションがそれぞれ設けられていることである。つまり,理論と実践の間(セクション2),実践と方法の間(セクション4),方法と理論の間(セクション6),である。これにより,この3つの軸が独立したものではなく,いかに結びつきあっているかが,非常によく理解できる。

もう1つの特徴は,それぞれの論の後に,著者間で活発な議論が行われている点である。例えば第3章の京極論文の後には,西條氏による京極論へのコメントが付されている。さらにその後に京極氏が西條氏のコメントを基に論考を加えるという形式である。これらのやり取りのすばらしさが,読後のワクワク感の正体である。

「建設的に議論をしましょう」とよく言われる。しかし,具体的にどう議論すれば建設的になるのか?答えられる人は少ない。議論に熱が入れば入るほど,不毛な中傷合戦やあげ足とりに終わることが多い。しかし本書では熱い議論が建設的に展開されている。そしてこのやり取りの中から,新しい知が生まれ,育ち,鍛え上げられていくのである。そして終章の斎藤論で,各論考が見事に結び付けられる。

エマ−ジェンス人間科学の「エマ−ジェンス」とは聞きなれないタイトルである。しかし西條氏が最後に言及しているように,この「エマ−ジェンス」という言葉こそが,著者間のやり取りによって,知が生まれ,育ち,鍛え上げられる,という創発(emergence)的特性がこめられているのである。

「大げさに誉めすぎている」と思われる方こそ,ぜひご一読を薦める。

エマージェンス人間科学―理論・方法・実践とその間から   エマージェンス人間科学―理論・方法・実践とその間から
西條 剛央
斎藤 清二
京極 真
荒川 歩
菅村 玄二
菅村 玄二
斎藤 清二
京極 真
荒川 歩
松嶋 秀明
黒須 正明
無藤 隆
荘島 宏二郎
山森 光陽
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 2,730
円 (税込み)
硬軟取り混ぜた研究本 この本は質的研究に限らず,研究という営為そのものを取り上げた本だといえる。

前著のベーシック編は,
読んですぐ実践できそうな研究のテクニックがいくつも収録されており,
研究を開始する前から,研究のコツを知ることができるような本だった。

本書も「論文執筆の技法」や「研究を評価するための視点」といった章を設け,
実践的な解説書であろうとするスタンスは変わっていないが,
ベーシック編と比べると難解な印象を受ける箇所があった。
それは,研究の理論的基盤を解説しようとしている箇所である。

そこで,しっかりと紙幅を割いて講義されていたことは,
研究の背景となる理論ではなく,研究を行うための理論だった。
本書では,それはメタ研究法と呼ばれている。

メタ研究法を知ることで,これまで何となく採用してきた研究の
方向性や方法により自覚的になれるのだろう。
本書を読解するには苦心する箇所もあったが,
その苦しみを乗り越えることで,新たな視点を得ることになった。

また,ある章で著者への批判論文を取り上げ,真っ向から批判に応えながら,
批判が内包する問題の構造を明確化している構成は見事だと思う。

全体的な構成は,後半になるにつれて内容がマニアックになっていた。
講義形式というスタイルのおかげで,さらさらと読み進んでしまうが,
やはり重要な箇所では慎重な読解を要した。

ときどき他愛のないおしゃべりが差し挟まれていて,
講義形式の雰囲気が出ていて面白かった。
ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMアドバンス編)   ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMアドバンス編)
西條 剛央
新曜社
おすすめ度:
価格: ¥ 2,520
円 (税込み)
難しいけど読みやすい。 難解な用語は脚注で補足があるものの、やはり難しい。
でも言ってることは理解できます。
一部の人間の習性というものを語っていて思わず吹き出してしまいます。
「共通良識は多数派の人間の情緒」
これこそ現代を語る上で欠かせないものでしょう。
俗情との結託…という言葉が思い出されます。
科学の剣 哲学の魔法―対談 構造主義科学論から構造構成主義への継承   科学の剣 哲学の魔法―対談 構造主義科学論から構造構成主義への継承
池田 清彦
西條 剛央
北大路書房
おすすめ度:
価格: ¥ 1,680
円 (税込み)
等身大の入門書 多くの入門書が、体系的・理論的に、章立てや、文の構成をしているのに対し、
この本は、質的研究に向かおうとするときに感じる疑問点に真っ先に答える形をとっているのが特長である。

内容については、理論もモデルも、ようするに仮説になってしまうところや、
質的研究の仮説生成としての側面が強調されるところなど、個人的には、説明がほしいところもいくつかあるが、初学者にとっては、ちょうど良いレベルで書かれているのではないかと思う。そのため、本格的に質的研究をする人は、体系だって書かれた本の副読本として用いるのがいいと思う。

もう一つ特徴として、
最近の質的研究の本は、安易な質的研究を戒める目的からか、かなり厳しく書かれており、(正しいのかもしれないが、)読んでいてくじけそうになることが多い。それに対してこの本では、ある程度の範囲内では、自由な質的研究の楽しさが満ち溢れており、久しぶりに「勇気の出る入門書!!」という印象を受けた。
ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMベーシック編)   ライブ講義・質的研究とは何か (SCQRMベーシック編)
西條 剛央
新曜社
おすすめ度:
価格: ¥ 2,310
円 (税込み)
構造構成主義の展開―21世紀の思想のあり方 (現代のエスプリ no. 475)   構造構成主義の展開―21世紀の思想のあり方 (現代のエスプリ no. 475)
西條 剛央(編さん)
その他
至文堂
おすすめ度:
価格: ¥ 1,450
円 (税込み)
アイテム数:10/ページ数:1