Rumer Godden - 和書 - 子供と読む絵本の旅
あまりに思い出と重なって・・・ イプセンの作品ではない。家族として幸せに暮らしていた4体の人形たちの運命を描くことで、善悪や正邪、真実とは何か、幸福とは何か、といったことを子どもたちに暗示するような童話である。10月12日の朝日新聞書評欄に宮部みゆきの文章が掲載され、初めてこの作品を知った。訳者は「ナルニア国ものがたり」と同じであるが、残念ながらずいぶん古めかしい訳であり、今の子どもには理解が難しいかもしれないと思う。

私がこの作品を「読む!」と直ちに決め、即日入手したのには理由がある。「もまみこ」のことを思ったからである。

「もまみこ」とは、妹がまだ小さかった頃に、家族全員で可愛がっていた人形たちの総称である。本当はモンチッチの「ちんも」、本当はマイチッチの「ちんま」、モスクワオリンピックのマスコットだった「ミーシャ」、懸賞の一等賞品だったコアラの「コー」。それぞれがそれぞれの個性をもち、学校に通い、私たち兄妹とゲームをしたり、いっしょにテレビを見たり、音楽を聴いたりして、私たちはいつもこの子たちと一緒だった。ままごと遊びと言うなかれ。この子たちは私たちの家族を守り、家族の平和の証であり、家族の思い出の礎になったのである。今はもう、実家の書棚の扉の中で、4人揃って余生を送っているけれど、私と妹とが実家に揃うと時々起きて来て、昔と同じ元気な声を聞かせてくれる。

人形を家族と同じに愛するとはどういうことか、私はよくわかっているつもりである。思い出を共有する家族があり、実家に帰ればいつまでも変わらぬ元気な子たちにいつでも会える。この本には人形たちの思いがたくさん詰まっていて、私のような思い出をもつ者にはひときわ愛おしい。さまざまなメッセージ性を秘めた作品であることは承知の上で、あえて私は人形たちの「願い」に耳を傾けることだけに専念させてもらった。
人形の家 (岩波少年文庫)   人形の家 (岩波少年文庫)
Rumer Godden(原著)
その他
岩波書店
おすすめ度:
価格: ¥ 672
円 (税込み)
トウシューズ   トウシューズ
Rumer Godden(原著)
その他
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,890
円 (税込み)
姉クリスタルの心の動きが読み応えあります  デューンは、「運がいい」と言われるように、人との出合いにも恵まれ、才能を認められてどんどんバレエダンサーの階段をのぼっていく。
 姉のクリスタルはそんな弟に嫉妬し意地悪をする。そして、その意地悪に自分自身が傷つく。反抗や挫折の少女の複雑な心をうまく描いて読みひたってしまいます。下巻ではクリスタルが主人公の感さえする。
 お話そのものは、バレエダンサーを夢見てけわしく遠い道を成功の階段を一歩一歩あがっていくというものだけれど、やっぱり登場人物が面白いんですよね。
 特に、両親はいろいろ考えされられてしまいました。大人の方ぜひ。
バレエダンサー〈下〉   バレエダンサー〈下〉
Rumer Godden(原著)
その他
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,890
円 (税込み)
クリスマスのようせい (四つの人形のお話)   クリスマスのようせい (四つの人形のお話)
久慈 美貴(翻訳)
福武書店
おすすめ度:
価格: ¥ 1,121
円 (税込み)
ルーマ・ゴッデンは77歳にして書いたのだそうです。脱帽。 生まれたときから家族の中で忘れられたみたいな存在だった少年デューン。彼がバレエの才能をみいだされて、王立バレエ学校に入学するお話。
 だけれど、母親に溺愛されている姉のクリスタル。デューンの才能に気づかないうえ、彼の心も理解できない両親。兄弟。など、(デューンの非凡さは、家族以外の周りの大人の理解と愛によって、成功へと導かれるのは当然な物語の帰結なのだが)、周りの大人たち脇役の登場人物が、それぞれにていねいに描き出されていて面白いのです。
ルーマ・ゴッデンが、この作品を書いたのは77歳の時と書いてあったのですが、すごいと思いました。人生経験豊富でしかも瑞々しい感性を失わずにこんな作品が書けるなんて。
 ぜひ、大人の方も読んでください。
バレエダンサー〈上〉   バレエダンサー〈上〉
Rumer Godden(原著)
その他
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 1,890
円 (税込み)
おすのつぼにすんでいたおばあさん   おすのつぼにすんでいたおばあさん
Rumer Godden(原著)
その他
徳間書店
おすすめ度:
価格: ¥ 1,260
円 (税込み)
大人っぽい!渋い!  大人の世界の、暗く、汚れているからこその美しさを、いろんな要素を絶妙に組み合わせてあざやかにとらえた本だと思います。 
 例えばまず、季節は夏。期待と倦怠の両方が、特に濃い季節。
 そんな季節に主人公たちは、保護者なしで、外国のホテルにいなくてはならないはめに。まわりはみんな、外国人、外国語。
 旅行先はフランス。夏の強い日の光、若い旅行者の憧れと心細さのこもった目、それらを通してみるフランスは、特別スリリングで、猥雑で、美しいです。
 そんなフランスでも、幅広い年齢の兄弟姉妹の下のほうは、道でアイスを食べたり、遊んだり、無邪気に夏を過ごします。その一方で、まわりの大人たちは、一番上の姉をまきこみながら、まるで違う夏を過ごしている。この、大人たちが過ごす夏の部分が、二十代後半の私が読んでも、すごく大人っぽくてかっこいいです。中心になっているのは、愚かで一途な女と、レズビアンらしき年上の女、後ろ暗い秘密のある男、気位の高い美少女、この四人の感情的な争い。恋にすがる女の無様な姿、軽蔑の表情を浮かべる美少女、誘惑、裏切り、屈辱、復讐。無邪気なこどもの風景と並行して書かれているせいで、余計にその暗い美しさ、汚れた魅力が引き立ちます。
 語り手の、上から二番目の女の子がまた、いい。大人たちの欲望を理解できる一方で、彼女自身はまだ大人の欲望から自由。だから、大人を見る目がすごく敏感で冷静。冷酷と言ってもいいくらいです。その一方で、劣等感や不安やさみしさに揺れ動いている。
 素敵な本です。児童書ですが、大人にも、いや、大人や大人になりかけの人にこそ、おすすめです。
すももの夏   すももの夏
Rumer Godden(原著)
その他
徳間書店
おすすめ度:
価格: ¥ 1,680
円 (税込み)
帰ってきた船乗り人形   帰ってきた船乗り人形
Rumer Godden(原著)
その他
徳間書店
おすすめ度:
価格: ¥ 1,680
円 (税込み)
アンデルセン―夢をさがしあてた詩人   アンデルセン―夢をさがしあてた詩人
Rumer Godden(原著)
その他
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 2,548
円 (税込み)
   ホリーはクリスマス・ドール、赤いドレスに赤いリボン、緑のペチコートに靴下。玩具屋のショー・ウィンドでかわいい女の子へのクリスマス・プレセントとして買われてゆくことを祈りつづけている。アイビーは施設に暮らす女の子。赤い帽子に赤い手袋、緑のコートでクリスマス・イブの街をひとりでさまよっている。やがてホリーとアイビーは運命の糸に操られて出会うことになる。

   このクラシカルなクリスマス・ストーリーの素晴らしい点は、主人公ホリーとアイビーはもちろんだが、彼女たち以外の登場人物も人形もすべてがそれぞれの物語をきちんと語っているところである。普通の人々の物語を土台として展開するこのホリーとアイビーのお話は、よくあるセンチメンタルなクリスマス・ストーリーとは少し異なり、毎日「生活すること」を生きている人たちの心に届く芯の強さを持っている。

   ノスタルジックなCooney(クーニー)の絵は、降り続く雪のように清潔で慎ましやかだ。幾重にも折り重なった人々と心を持つ人形たちの物語の上にただ静かに降り積もってゆく。(み)

Story of Holly & Ivy (Revised) (Pb)   Story of Holly & Ivy (Revised) (Pb)
Rumer Godden
Macmillan Children's Books
おすすめ度:
価格: 円 (税込み)
アイテム数:31/ページ数:4  次ページ