エーリヒ・ケストナー - 和書 - 子供と読む絵本の旅
ケストナーの信念がびりびり伝わる  本書は、ケストナーの日記や手紙をもとに、彼の生涯を詳しく
客観的に紹介した伝記である。家庭の事情やマザコンだったこと、
失恋話や愛人を作ったことなど、私生活もケストナーの心の思いも
ありのまま書き出されている。

例えば『飛ぶ教室』に出てくるエピソードと同じ経験を
ケストナー自身が体験していたことなども記されていて、
彼の作品をより楽しく身近に感じられるようになる。

 しかし、この本で最も目を引くのは、ケストナーの戦争に対する
考え方である。彼は政治や社会を鋭く見つめ、体制に批判的な
文章を発表していたため、ナチス政権下で執筆活動を禁止される。
命が狙われる危険もあったのに、亡命せずドイツに留まり、
愛する祖国が変貌していく様子をじっと観察していた。

戦後、彼が発表した詩やエッセイが所々に引用されている。
それらの文章から、激動の時代を生き抜いた作家の、平和に対する
願いが強く感じられる。時には厳しく、時には優しく、そして必ず
ユーモアを交えながらドイツの人々に様々なメッセージを伝え続けた
ケストナーの信念を、この本はたっぷりと教えてくれる。

ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家   ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家
クラウス コルドン
Klaus Kordon
那須田 淳
木本 栄
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 2,940
円 (税込み)
児童文学の品格 国家から女性まで品格流行りの昨今、これほど品格の備わった児童文学があるでしょうか。
若松宣子氏によるひっそりとしたたたずまいの訳、著者ケストナー自身から直接発せられるメッセージの質、そしてこの登場人物たちの生きる姿勢ときたら!
必ずしも無傷で輝いている訳ではないのに、誇りと、互いへの信頼に満ちた、ひとびとの幸せそうなさま!
毎日に疲れ、自己嫌悪に汚れてしまった我と我が身が、少し、ほんの少し、清められ、更生できたような気持ちにすらなる。
もう一度、いや二度三度、繰り返し味わいたい良書です。長く生き残るものには、わけがあるということを、見せつけられたのでした。
飛ぶ教室 (偕成社文庫)   飛ぶ教室 (偕成社文庫)
Erich K¨asthner(原著)
その他
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 735
円 (税込み)
ケストナーの終戦日記―一九四五年を忘れるな   ケストナーの終戦日記―一九四五年を忘れるな
エーリヒ・ケストナー
高橋 健二
駸々堂出版
おすすめ度:
価格: ¥ 1,365
円 (税込み)
家庭薬局―ケストナー博士の叙情詩   家庭薬局―ケストナー博士の叙情詩
E・ケストナー
高橋 健二
かど創房
おすすめ度:
価格: ¥ 1,988
円 (税込み)
ケストナーの生涯―ドレースデンの抵抗作家 (福武文庫―JOYシリーズ)   ケストナーの生涯―ドレースデンの抵抗作家 (福武文庫―JOYシリーズ)
高橋 健二
福武書店
おすすめ度:
価格: ¥ 764
円 (税込み)
どうぶつ会議 (岩波の子どもの本)   どうぶつ会議 (岩波の子どもの本)
エーリヒ・ケストナー
ワルター・トリヤー
光吉 夏弥
岩波書店
おすすめ度:
価格: ¥ 945
円 (税込み)
輝きを失わない児童文学の名作。何度も胸が熱くなりました。 色褪せるどころか、読み返すたびに輝きを増す作品があるとすれば、この作品などはその最たるものと言っていいでしょう。
クリスマス・シーズン、ドイツのギムナジウムを舞台にした、少年と先生の物語。
久しぶりに読み返したのですが、途中、何度も目頭が熱くなりました。

作者ケストナーの信念が強く伝わってくる作品ですね。「逆境にあっても、立ち向かう勇気をなくしてはいけない」「背筋をしゃんと伸ばして、まっすぐに生きていくことが大切です」「あなたの少年(少女)時代を忘れないように」。作家が読者に宛てたそうしたメッセージが、少年たちのクリスマスの物語の中に込められていて、あたたかさを伴って胸に響いてきます。

禁煙先生、正義先生、ふたりの先生が少年たちからとても敬愛されている様子が、とてもいいですね。少年たちと先生とを結んでいる信頼の絆、それが物語の中で見事に描き出されていました。
クリスマス休暇を前に、不幸せな状況に直面した少年の悲しみ。彼がそのことに耐え、涙をこらえる姿は、見ていて切なく、胸がぎゅーっと締め付けられました。

この作品は、1933年にドイツで刊行されました。ヒトラーのナチスが権力を握り、ドイツが軍国主義へとひた走っていく頃。そうした時代にあって、ヒューマンな精神に貫かれたこれほどの作品を書き、発表した作家がドイツにいたということ。自分の信念を曲げず、間違いだと思うことに対しては断固として抗議するケストナーの姿が、本書に登場する正義先生の姿とダブって見えました。

飛ぶ教室 (偕成社文庫 (3050))   飛ぶ教室 (偕成社文庫 (3050))
エーリヒ=ケストナー
高橋 健二
偕成社
おすすめ度:
価格: ¥ 735
円 (税込み)
飛ぶ教室 (岩波少年文庫)   飛ぶ教室 (岩波少年文庫)
Erich K¨astner(原著)
その他
岩波書店
おすすめ度:
価格: ¥ 714
円 (税込み)
平和を願って。 人間の子どもたちの将来を憂う動物たちが、人間の大人たち(各国のお偉いさんたち)に、戦争をやめるよう働きかけるお話です。

人間は、これまでの二つの大戦と、数え切れないほどの中戦、小戦で、たくさんの大切なものを失ってきたのに、どうしてまだ戦争をやめることができないのでしょう。その愚かさにそろそろ気付いてもいいはずなのに、どうして止めることができないのでしょう。世界中の子どもたちのために、戦争をしないという決断をするということは、そんなに難しいことなのでしょうか。たくさんの人々が平和を願っているにもかかわらず、どうしてその願いは力を持つことができないのでしょう。

そんなことを考えさせられました。

動物会議 (ケストナー少年文学全集 (8))   動物会議 (ケストナー少年文学全集 (8))
ケストナー
高橋 健二
岩波書店
おすすめ度:
価格: ¥ 1,575
円 (税込み)
エミールと探偵たち (岩波少年文庫 (2012))   エミールと探偵たち (岩波少年文庫 (2012))
エーリヒ・ケストナー
小松 太郎
岩波書店
おすすめ度:
価格: ¥ 672
円 (税込み)
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